ジャガイモの葉に暗緑色で水がしみたような病斑が現れ、しだいに暗褐色へ広がったり、葉裏の病斑境界に白い霜状のかびが見えたりした場合は、疫病を疑います。
ジャガイモ疫病は、Phytophthora infestansによる重要病害です。葉・茎・いもに発生し、低温多雨の条件では短期間で広がることがあります。北海道では指定有害動植物として継続的に予察・防除対象となっています。
見分けるときは、暗緑色の水浸状病斑、葉裏の白い霜状かび、茎の褐色腐敗を組み合わせて確認します。よく似た夏疫病では同心円状の病斑が目立ち、疫病のような白い霜状かびは見られない点が大きな違いです。
ジャガイモ疫病の基本情報・早見表
| 項目 | 内容 |
| 病名 | ジャガイモ疫病 |
| 病原 | Phytophthora infestans |
| 主な発生部位 | 葉、茎、いも |
| 葉の症状 | 暗緑色で水浸状の病斑。進むと暗褐色〜黒褐色へ広がる |
| 葉裏 | 病斑と健全部の境界付近に白い霜状のかびが見えることがある |
| 茎 | 褐色〜暗褐色に腐敗し、茎疫症状が広がることがある |
| いも | 表面に暗褐色の不規則な浅いくぼみ。内部は褐色〜赤褐色に変色することがある |
| 発生しやすい条件 | 低温・多雨・多湿。15〜16℃前後で発病しやすく、18〜20℃で曇雨天が続くと急速に広がりやすい |
| 類似病害 | 夏疫病、灰色かび病など |
| 対策の基本 | 健全な種いも、発生予察の確認、過繁茂を避ける、発病株の早期発見、必要に応じた適期防除 |
ジャガイモ疫病の見分け方・特徴

疫病は、葉の色だけでなく「水浸状か」「葉裏に白いかびがあるか」「茎まで褐変しているか」をまとめて確認します。
- 初期は水浸状:葉に暗緑色で油がしみたような病斑が出ます。
- 不整形に褐変:病斑は暗褐色〜黒褐色へ広がり、葉が枯れ込むことがあります。
- 葉裏に白いかび:湿った条件では、病斑と健全部の境界付近に白い霜状のかびが見えます。
- 茎も褐色に腐敗:茎では褐色病斑が広がり、特に腋芽付近で症状が目立つことがあります。
白いかびは、うどんこ病のように葉全体を粉で覆うものではありません。病斑の境界付近に薄い霜のように見えるのが特徴です。
症状が出やすい場所

- 葉:暗緑色の水浸状病斑が現れ、暗褐色へ広がります。湿った条件では葉裏に白いかびが出ます。
- 茎:褐色〜暗褐色の病斑が出て、腐敗が進むことがあります。腋芽付近も確認します。
- いも:表面に暗褐色の不規則な浅いくぼみができ、切ると内部が褐色〜赤褐色に変色していることがあります。
地上部だけでなく、疫病が強く発生した株では収穫時にいもの表面と切断面も確認してください。疫病で傷んだ部分から軟腐病菌などが侵入すると、さらに腐敗が進むことがあります。
ジャガイモ疫病と夏疫病の違い

疫病と夏疫病はどちらも葉に褐色系の病斑が出ますが、病斑の形と葉裏のかびを見ると区別しやすくなります。
| 確認点 | ジャガイモ疫病 | ジャガイモ夏疫病 |
| 初期病斑 | 暗緑色・水浸状 | 褐色で比較的乾いた病斑 |
| 形 | 不整形に広がりやすい | 同心円状の輪紋が目立つ |
| 葉裏 | 湿ると病斑境界に白い霜状かび | 疫病のような霜状かびは見られない |
| 発生条件の傾向 | 低温多雨・多湿で広がりやすい | 高温・比較的乾燥した条件で発生しやすい |
| 見分けの軸 | 水浸状+葉裏の白いかび | 同心円状病斑+白いかびなし |
病斑だけで判断しにくい場合は、葉を裏返して白い霜状のかびがないか確認するのが重要です。
見つけたら最初に確認すること

- 葉は水浸状か:暗緑色で水がしみたような病斑か確認します。
- 葉裏に白いかびがあるか:病斑の境界付近を裏側から確認します。
- 茎が褐色〜暗褐色になっていないか:特に腋芽付近も見ます。
- いもに褐色の浅いくぼみがないか:収穫時は表面だけでなく、必要に応じて内部変色も確認します。
- 同心円状病斑ではないか:輪紋がはっきりする場合は夏疫病も疑います。
発生しやすい時期・条件
着蕾期〜開花期以後
北海道の資料では、着蕾期から開花期以後に葉で発生しやすいとされています。株が大きくなる時期は、下葉や株内部までこまめに確認します。
低温多雨・曇雨天が続く
2026年の北海道農業改良普及センター資料では、疫病は低温多雨で発生しやすく、発病適温は15〜16℃前後、発生後は18〜20℃で曇雨天が続くと急速に拡大するとされています。
茎葉が込み合って乾きにくい
過繁茂で株内部が乾きにくい状態は、疫病が広がりやすい環境になります。窒素肥料の与えすぎを避け、株を軟弱・過繁茂にしないことも大切です。
家庭菜園でできるジャガイモ疫病対策
健全な種いもを使う
家庭菜園では、食用のイモではなく、園芸用として流通している健全な種いもを使います。ジャガイモの基本的な植え付け・土寄せ・収穫方法は、ジャガイモの育て方も参考にしてください。
葉裏まで早めに観察する
長雨や低温多湿が続いた後は、葉表の病斑だけでなく葉裏も確認します。初期に気づくほど、その後の対応を取りやすくなります。
強く発病した茎葉を放置しない
強く発病した葉や茎をそのまま畑へ残すと、周囲への伝染源になる可能性があります。発病程度が高い部分は早めに取り除き、畑の外で適切に処分します。
収穫時はいもを傷つけない
疫病に感染したいもは貯蔵中にも病斑が広がることがあります。収穫時は傷を増やさないようにし、病斑や腐敗があるいもを健全ないもと一緒に長期保存しないようにします。
農薬を使う場合の注意
ジャガイモ疫病は進行が速いため、地域では発生予察や初発予測に合わせた予防・適期防除が行われています。北海道ではFLABS(疫病初発予測システム)なども利用されています。
家庭菜園で農薬を使う場合は、使用時点で「ばれいしょ」と「疫病」に登録があることを確認し、使用時期、希釈倍率、使用回数、収穫前日数などのラベル表示を守ってください。最新情報は農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認します。
疫病が出たジャガイモは食べられる?
疫病が強く出た株では、いもにも暗褐色の浅いくぼみや内部の褐変が出ることがあります。また、疫病の傷口から別の腐敗菌が侵入し、軟らかく腐ることもあります。
病斑、内部褐変、軟化、腐敗、異臭があるいもは食用を避けます。見た目が正常ないもでも、発病株から収穫した場合は一個ずつ状態を確認し、傷みがあるものを長期保存へ回さないようにしてください。
予防と早期発見のポイント
- 着蕾期〜開花期以後は葉をこまめに観察する
- 暗緑色の水浸状病斑がないか確認する
- 病斑の葉裏に白い霜状かびがないか見る
- 茎・腋芽付近の褐色腐敗を確認する
- 低温多雨・曇雨天が続いた後は特に注意する
- 茎葉を過繁茂にしすぎない
- 強い発病部は早めに除去する
- 収穫時に病斑のあるいもを分ける
- 傷んだいもを健全ないもと一緒に長期保存しない
- 夏疫病と迷う場合は同心円状病斑と葉裏の白いかびを比較する
よくある質問
ジャガイモの葉が黒っぽくなったら疫病ですか?
黒っぽい病斑だけでは断定できません。疫病では初期に暗緑色の水浸状病斑が出やすく、湿った条件では葉裏の病斑境界に白い霜状かびが見られます。
夏疫病との見分け方は?
疫病は水浸状病斑と葉裏の白い霜状かびが重要な確認点です。夏疫病は同心円状の病斑が目立ち、疫病のような霜状かびは見られません。
雨が続くと急に広がることがありますか?
あります。疫病は低温多雨・多湿で発生しやすく、18〜20℃前後で曇雨天が続くと急速に広がることがあります。
いもにも症状は出ますか?
出ることがあります。表面に暗褐色の不規則な浅いくぼみができ、内部が褐色〜赤褐色に変色することがあります。
疫病が出たいもは保存できますか?
病斑や内部褐変、軟化、腐敗があるいもは長期保存へ回さず、健全ないもと分けます。疫病の病斑は貯蔵中にも広がることがあります。
農薬を使う場合は何を確認すればいいですか?
使用時点で「ばれいしょ」と「疫病」に登録があるか確認し、使用時期、希釈倍率、使用回数、収穫前日数などのラベル表示を守ります。最新登録は農薬登録情報提供システムで確認してください。


