コマツナやハクサイなどの葉に、白〜銀白色のくねくねした筋が伸びていたら、ハモグリバエ類(エカキムシ)の食害を疑います。幼虫が葉の表面をかじっているのではなく、葉肉の中へ潜って食べ進むため、白い線状の通り道が残るのが大きな特徴です。
ハモグリバエ類には複数の種類がいるため、成虫の色や大きさだけで種類を決めつけないことが大切です。家庭菜園では「葉の中を通る白い筋」「筋の内部に幼虫や通り道が見えるか」「周辺の葉にも同じ症状があるか」を優先して確認します。
ハモグリバエ類の基本情報・早見表
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 分類 | ハエ目ハモグリバエ科などの小型害虫。幼虫が葉肉内を潜行して食害する |
| 主な被害 | 葉に白〜銀白色の不規則な線状の潜孔痕が残る。多発すると葉全体が白っぽく傷む |
| 見分けるポイント | くねくねした白い筋、葉の中の幼虫、小型のハエ状成虫、細かな吸汁・産卵痕 |
| 主に確認する場所 | 葉の表、葉肉の中、外葉〜成熟葉、周辺株の葉 |
| 発生の目安 | 種類・作物・栽培環境で異なる。コマツナでは春にナモグリバエが確認される例がある |
| 対策の基本 | 被害葉の早期除去、残さ・雑草管理、侵入前からの防虫ネット、必要に応じた登録農薬 |
ハモグリバエ類の見分け方・特徴

最も分かりやすい症状は、葉の内部を通る白〜銀白色の線状痕です。線は葉脈そのものではなく、幼虫が葉肉を食べながら進んだ「潜孔痕(マイン)」です。線が途中で曲がったり、蛇行したりするため、エカキムシとも呼ばれます。
成虫は小さなハエ状で、葉に細かな傷をつけて吸汁・産卵することがあります。ナモグリバエの一例では、成虫は約2mm、成熟した幼虫は約3mmが目安ですが、ハモグリバエ類すべてを同じ大きさ・色として扱わないようにします。
- 小さなハエ状の成虫:葉の周囲や葉上に小型の成虫が見えることがある
- 葉の中にいる幼虫:白い筋の内部に淡色の幼虫が透けて見えることがある
- くねくねした白い筋:葉肉内部を不規則に進む線状の食害痕
- 細かな吸汁・産卵痕:葉表に小さな点状の傷が見えることがある
被害が出やすい場所

白い筋を見つけたら、その1本だけで終わらせず、同じ葉と周辺の葉を順番に確認します。幼虫は葉肉内にいるため、葉表だけでなく、光に透かしたときの内部の見え方も手掛かりになります。
- 葉の表:白〜銀白色のくねくねした線がないか
- 葉肉の中:筋の内部に幼虫、蛹、食べ進んだ通り道が見えないか
- 外葉〜成熟葉:ナモグリバエでは外葉などで被害が目立つことがある
- 周辺の葉:同じ株や近くの株にも新しい潜孔痕が増えていないか
購入苗から持ち込むこともあるため、植え付け前の苗も確認します。白い筋や不自然な点状痕がある苗は、他の苗と分けてよく観察します。
ハモグリバエ類と白斑病の違い

葉が白く見えると、害虫ではなく病気の白斑病と迷うことがあります。見分けるときは、白い部分が「線」なのか「斑点・面」なのかを最初に確認します。
| 確認点 | ハモグリバエ類 | 白斑病 |
|---|---|---|
| 白く見える形 | くねくねした線状 | 円形〜不整形の斑点・面状 |
| 白い部分の位置 | 葉肉内部を通る潜孔 | 葉の病斑として広がる |
| 幼虫 | 線の内部に見えることがある | いない |
| 広がり方 | 幼虫の移動に沿って線が伸びる | 複数の病斑が点在・拡大する |
また、ナメクジ類でも銀白色の跡が見えることがありますが、ナメクジの粘液跡は葉の表面や地表に付く光沢のある跡です。ハモグリバエ類の白い筋は葉肉内部にあるため、斜めから光を当てるだけでなく、葉を透かして確認すると区別しやすくなります。
見つけたら最初に確認すること

ハモグリバエ類らしい白い筋を見つけたら、次の4点を確認します。
- 白い筋の形:くねくねした不規則な線状になっているか
- 葉の中:筋の内部に幼虫や食べ進んだ通り道が見えないか
- 周辺の葉:同じ株や近くの株にも潜孔痕が増えていないか
- 苗・被害葉:購入苗に潜孔痕がないか、被害葉を株や畑に残していないか
被害が少ない段階なら、白い筋が入った葉を早めに見つけて除去することで、葉の中の幼虫ごと発生源を減らせます。葉を取るときは、株がまだ小さい場合に一度に取りすぎないよう、生育とのバランスも見ます。
ハモグリバエ類が発生しやすい時期・条件
種類と作物によって発生時期が違う
ハモグリバエ類は種類によって寄生する作物や発生時期が異なります。コマツナの栽培では春にナモグリバエが確認される研究例があり、種類によっては春から秋まで発生するものもあります。寒冷地でも「何月なら安全」と固定せず、春・秋の葉物栽培を中心に白い筋が出ていないか観察します。
苗や周辺作物から持ち込まれる
葉の中に卵や幼虫がいると、見た目では気付きにくいまま苗を持ち込むことがあります。購入苗や育苗中の苗は、植え付け前に葉の表裏と白い潜孔痕を確認します。
被害葉・残さ・雑草を残している
被害葉や収穫残さ、周辺の雑草は次の発生につながることがあります。収穫後も被害葉を畝に放置せず、周囲の雑草と合わせて整理します。
家庭菜園でできるハモグリバエ類の対策
被害葉を早めに取り除く
白い筋が少数の葉に限られているうちは、被害葉を取り除くのが分かりやすい対策です。幼虫が葉肉内にいる段階で葉ごと除去し、畝の上へ放置せず適切に処分します。
侵入前から防虫ネットを使う
成虫が飛来して産卵する前から防虫ネットで被覆します。農研機構のコマツナ試験では、0.6mm目合いのネットでナモグリバエなどハモグリバエ類の侵入を阻止できた例があります。ネットは目合いだけでなく、裾や出入口に隙間を作らないことが重要です。
細かいネットは通気性が下がるため、高温期は内部の温度や蒸れも確認します。すでに葉の中に幼虫がいる苗へネットを掛けても、内部の虫はそのまま残るため、被覆前の苗チェックと組み合わせます。
残さと周辺雑草を整理する
被害葉、収穫残さ、畝周りの雑草を整理し、発生源を残しにくくします。ハモグリバエ類は種類によって寄主範囲が広いため、育てている野菜だけでなく周辺の葉にも白い潜孔痕がないか確認します。
農薬を使う場合の注意
被害が広がり、被害葉の除去や防虫ネットだけでは抑えにくい場合は、育てている作物と対象害虫に登録のある農薬を検討します。ハモグリバエ類は葉肉内に幼虫がいるため、発生初期の対応が重要です。
登録内容は作物・害虫・製品ごとに異なり、変更されることもあります。使用前に農林水産省の最新の農薬登録情報と製品ラベルを確認し、希釈倍率、使用回数、使用時期、収穫前日数を守ってください。この記事では固定の商品名や使用量を指定しません。
ハモグリバエ類に食害された野菜は食べられる?
ハモグリバエ類の食害は、幼虫が葉肉を食べた跡です。軽い食害だけで直ちに野菜全体が食べられなくなるわけではありませんが、白い筋の内部に幼虫や蛹が残っていることがあります。家庭菜園では、被害が目立つ葉は無理に利用せず取り除き、健全部分はよく洗って状態を確認します。
腐敗、異臭、カビなど別の傷みがある場合は利用しません。農薬を使用した場合は、ラベルに記載された収穫前日数を必ず守ります。
予防と早期発見のポイント
- 葉の中を通る白〜銀白色のくねくねした筋を最優先で見る
- 白い線と白い斑点を区別し、白斑病と混同しない
- 購入苗は植え付け前に潜孔痕がないか確認する
- 被害葉は早めに取り除き、畝に放置しない
- 侵入前から細目の防虫ネットを隙間なく使う
- 周辺の雑草と収穫残さを整理する
- 被害が広がる場合は最新の登録農薬を確認する
よくある質問
ハモグリバエ類の一番分かりやすい見分け方は?
葉の中を通る白〜銀白色のくねくねした線状の潜孔痕です。白い部分が葉表の粉や粘液ではなく、葉肉内部の通り道になっているか確認します。
エカキムシとハモグリバエは同じですか?
エカキムシは、葉に絵を描いたような白い筋を残すハモグリバエ類などの幼虫を指す呼び名です。正式な種名ではないため、記事ではハモグリバエ類として扱います。
白斑病との違いは?
ハモグリバエ類は白い線状の潜孔痕、白斑病は白〜灰白色の斑点・面状の病斑が中心です。線の内部に幼虫や通り道が見える場合はハモグリバエ類を疑います。
防虫ネットはいつ掛けますか?
成虫が飛来して産卵する前から掛けます。植え付けや播種後の早い段階で隙間なく被覆し、苗にすでに潜孔痕がないかも確認します。
被害葉は全部取った方がいいですか?
少数の被害葉は早めに取り除くと発生源を減らしやすくなります。ただし小さな株で葉を一度に取りすぎると生育へ影響するため、被害の程度と残る葉数を見ながら対応します。
春と秋だけ注意すればいいですか?
種類・作物・栽培環境によって発生時期が異なるため、春と秋だけに限定しません。寒冷地では春・秋の葉物栽培で特に観察しつつ、栽培期間中は新しい白い筋が増えていないか確認します。


