2026年7月の小売価格と農林水産省の収量データを使い、価格だけでなく「その場所からどれだけ収穫できるか」まで比べました。
今回の比較結果
「高い野菜」より、「高くて・たくさん取れる野菜」が強い
- 1位トマト
- 2位ピーマン
- 3位きゅうり
- 4位さやいんげん
- 5位なす
※寒冷地の一般的な家庭菜園を想定し、価格・収穫量・繰り返し収穫・栽培条件を合わせて整理しています。
スーパーで値段が高い野菜を家庭菜園で育てれば、それだけ「得」なのでしょうか。
調べてみると、答えは少し違いました。
1kgあたりの値段が高くても、1株から取れる量が少なければ、家庭菜園での“お得感”はそれほど大きくなりません。
反対に、トマトやピーマンのように、1kgあたりの値段は最高クラスでなくても、夏の間に何度も収穫できる野菜は強くなります。
この記事では、
- スーパーでの小売価格
- 面積あたりの収穫量
- 一度きりの収穫か、何度も取れるか
- 寒冷地の家庭菜園で現実的に育てられるか
を分けて確認し、「家庭菜園で育てる価値が高い野菜」を比較します。
※価格は2026年7月の公表値を中心に使用しています。野菜の価格は季節や地域で大きく変わるため、固定された価格表ではなく、比較時点の目安として見てください。
まず結論|寒冷地で「育てると得」なのはこの5つ
今回の比較で、寒冷地の一般的な家庭菜園でも狙いやすく、価格と収穫量のバランスがよかったのは次の5つです。
| 順位 | 野菜 | 強い理由 |
|---|---|---|
| 1位 | トマト | 面積あたりの収穫量が多く、夏に繰り返し収穫できる |
| 2位 | ピーマン | 1kgあたりの価格が高めで、長期間取り続けやすい |
| 3位 | きゅうり | 価格は中位でも、収穫量が非常に多い |
| 4位 | さやいんげん | 1kgあたりの価格が非常に高く、何度か収穫できる |
| 5位 | なす | 1株から繰り返し取れ、夏野菜として収穫量を確保しやすい |
ポイントは、単価だけで決めていないことです。
特にトマト・ピーマン・きゅうりは、「買うとそこそこ高い」だけでなく、「1株から何個も取れる」という家庭菜園向きの強さがあります。
今回の「得」は、利益ではなく小売相当額で比較
この記事では「得」を分かりやすくするために、「同じ量をスーパーで買ったら何円くらいになるか」で比べます。
これをこの記事では「小売相当額」と呼びます。
たとえば、
1kgあたり800円の野菜を1㎡から4kg収穫できた場合
800円 × 4kg = 3,200円
なので、1㎡から取れた野菜は「スーパーで約3,200円分を買った量に相当する」と考えます。
ただし、これは3,200円の利益が出るという意味ではありません。
種・苗、肥料、堆肥、支柱、マルチ、防虫ネット、水道代などの費用は引いていません。
また、農林水産省の収量は農家の統計であり、家庭菜園で同じ量が取れることを保証する数字でもありません。
そのためこの記事では、「儲かる金額」ではなく、野菜同士を比べるための目安として使います。
スーパーで高い野菜ランキング|まずは1kgの値段だけ比較
最初に、収穫量を考えず「買うと高い野菜」を見てみます。
2026年7月の全国平均小売価格を1kgあたりで整理すると、今回比較した主な家庭菜園候補では次の順になりました。
| 順位 | 野菜 | 2026年7月の小売価格 |
|---|---|---|
| 1 | さやいんげん | 3,235円/kg |
| 2 | アスパラガス | 2,378円/kg |
| 3 | しょうが | 2,190円/kg |
| 4 | れんこん | 1,877円/kg |
| 5 | えだまめ | 1,560円/kg |
| 6 | さといも | 1,348円/kg |
| 7 | ほうれんそう | 1,220円/kg |
| 8 | ピーマン | 1,080円/kg |
| 9 | ごぼう | 1,067円/kg |
| 10 | ねぎ | 880円/kg |
| 11 | トマト | 779円/kg |
| 12 | なす | 765円/kg |
| 13 | きゅうり | 737円/kg |
価格だけなら、さやいんげんがかなり高く、アスパラガス、しょうが、れんこんも上位です。
一方、家庭菜園の定番であるトマトは11位、なすは12位、きゅうりは13位。
ここだけを見ると、「トマトやきゅうりはそれほど得ではないのでは?」と思えます。
でも、収穫量を掛けると結果が変わります。
価格×収穫量で比較すると、トマト・ピーマン・きゅうりが強い
寒冷地の家庭菜園では、冬のハウス栽培よりも、春に植えて夏から秋に収穫する露地栽培が中心です。
そこで、トマト・ピーマン・きゅうり・なすは、農林水産省の2025年「夏秋野菜」の10a当たり収量を使って比較しました。
10aは1,000㎡なので、
小売価格(円/kg)× 10a当たり収量(kg)÷ 1,000
で、1㎡あたりの小売相当額を計算できます。
| 野菜 | 小売価格 | 夏秋の収量 | 1㎡あたり小売相当額 |
|---|---|---|---|
| トマト | 779円/kg | 4.22kg/㎡ | 約3,290円 |
| ピーマン | 1,080円/kg | 2.91kg/㎡ | 約3,140円 |
| きゅうり | 737円/kg | 3.77kg/㎡ | 約2,780円 |
| なす | 765円/kg | 2.66kg/㎡ | 約2,030円 |
ここで順位が大きく変わります。
トマトは1kgの値段だけなら上位ではありませんが、夏秋トマトの収量は10a当たり4,220kg。
面積あたりの収穫量が多いため、小売相当額では約3,290円/㎡となりました。
ピーマンも約3,140円/㎡、きゅうりも約2,780円/㎡です。
つまり、家庭菜園で「得か」を考えるときは、
「1個いくらで売っているか」より、
「その場所からシーズン中にどれだけ収穫できるか」
の方が重要になる場合があります。
高い野菜=一番得、ではない
ここが今回の比較でいちばん面白かったところです。
さやいんげん|単価は1位。でも収穫量を掛けると逆転する
さやいんげんは2026年7月で3,235円/kgと、今回比較した中では最も高い価格でした。
一方、農林水産省の2024年統計では10a当たり収量は691kgです。
単純計算すると、
3,235円 × 0.691kg/㎡ = 約2,235円/㎡
となります。
十分高い数字ですが、トマトやピーマンより下になります。
「スーパーで少量買うと高い野菜」でも、面積あたりの収穫量が少なければ順位は下がる、という例です。
ただし、さやいんげんは寒冷地でも候補にしやすく、何度か収穫できるため、家庭菜園との相性はかなり良い野菜です。
えだまめ|単価は高いが、一度に収穫するタイプ
えだまめは1,560円/kgと高めですが、2024年の10a当たり収量は489kg。
単純計算では、
1,560円 × 0.489kg/㎡ = 約760円/㎡
です。
トマトやピーマンのように同じ株から長期間取り続ける野菜ではないため、「値段が高い=面積効率も高い」とはなりません。
もちろん、採れたてのおいしさは家庭菜園ならではです。
この記事は味や鮮度の満足度ではなく、価格と収穫量を中心に比べています。
しょうが|数字だけなら非常に高い。でも寒冷地では別問題
しょうがは2,190円/kg、2024年の10a当たり収量は2,640kg。
単純計算では約5,780円/㎡となり、数字だけなら非常に高くなります。
ただし、しょうがは暖かい期間を長く必要とするため、寒冷地では地域や栽培条件を選びます。
そのため今回は、
「計算上の小売相当額は高い」
と
「寒冷地の一般的な家庭菜園でおすすめしやすい」
を分けて考え、総合ランキングの上位には入れていません。
寒冷地の家庭菜園|育てると得な野菜ランキングTOP10
ここからは、小売価格だけではなく、
- 価格
- 面積あたりの収穫量
- 繰り返し収穫できるか
- 寒冷地の一般的な畑で現実的に育てられるか
を合わせて、家庭菜園向けに順位を整理します。
※「栽培が簡単な順」のランキングではありません。育てやすさを優先して選びたい場合は、9月の家庭菜園記事で初心者向け・手間少なめの野菜を別に比較しています。
1位 トマト
価格:779円/kg
収穫タイプ:繰り返し収穫
寒冷地での位置づけ:夏の主力
単価だけなら11位ですが、収穫量を掛けると一気に上位へ入ります。
夏秋トマトの収量を使った小売相当額は約3,290円/㎡。
1株から次々に実を取れるため、限られた場所を長く使う価値があります。
寒冷地では植え付けを急ぎすぎず、遅霜が落ち着いてからスタートすることが重要です。
秋は気温が下がると実の成熟が遅くなるため、暖地ほど長期間は取り続けられません。
それでも「買う量を減らしやすい」という意味では、家庭菜園で非常に強い野菜です。
2位 ピーマン
価格:1,080円/kg
収穫タイプ:繰り返し収穫
寒冷地での位置づけ:暖かい時期に強い
ピーマンは1kgあたりの価格が高く、さらに何度も収穫できます。
夏秋ピーマンの収量から計算した小売相当額は約3,140円/㎡。
トマトに近い水準です。
一度に大量収穫するというより、夏から秋に少しずつ使う家庭では特に相性が良くなります。
低温には強くないため、寒冷地では早植えせず、気温が上がってから育てるのが基本です。
3位 きゅうり
価格:737円/kg
収穫タイプ:繰り返し収穫
寒冷地での位置づけ:短期間に多収穫
きゅうりは単価だけなら高価格野菜ではありません。
それでも3位にした理由は収穫量です。
夏秋きゅうりは10a当たり3,770kgで、小売相当額は約2,780円/㎡。
支柱やネットを使って上方向へ伸ばせるため、家庭菜園では地面の面積を有効に使いやすいのも長所です。
収穫最盛期には食べきれないほど取れることもあるため、「スーパーできゅうりをよく買う家庭」ほど効果を感じやすい野菜です。
4位 さやいんげん
価格:3,235円/kg
収穫タイプ:複数回収穫
寒冷地での位置づけ:高単価が魅力
今回の価格ランキング1位です。
収量を掛けた参考値では約2,235円/㎡で、トマト・ピーマン・きゅうりほどではありませんが、それでも高水準です。
少量パックでも値段が高くなりやすいため、家庭でよく使うなら「育ててよかった」と感じやすい候補です。
つるあり種なら上方向を利用できるため、狭い畑でも取り入れやすくなります。
5位 なす
価格:765円/kg
収穫タイプ:繰り返し収穫
寒冷地での位置づけ:夏の主力候補
夏秋なすの収量から計算した小売相当額は約2,030円/㎡。
1株から繰り返し収穫できるため、夏の家庭菜園では経済性を出しやすい野菜です。
ただし、なすは暖かさを好むため、冷え込みやすい地域ではトマトよりスタートが難しくなることがあります。
「暖かい時期が短い地域では5位、比較的夏が長い寒冷地ならさらに上位」と考えると分かりやすいです。
6位 ねぎ
価格:880円/kg
収穫タイプ:基本はまとまって収穫
寒冷地での位置づけ:冷涼な地域でも候補にしやすい
ねぎは1kgあたり880円で、定番野菜の中では比較的高めです。
トマトのような連続収穫型ではありませんが、寒冷地でも栽培候補にしやすく、料理で使う頻度が高いのが強みです。
長ねぎは栽培期間が長く、土寄せなども必要になるため、「簡単だから得」というより、「普段からよく買う家庭ほど価値が出る野菜」と考えます。
7位 ほうれんそう
価格:1,220円/kg
収穫タイプ:基本は1回
寒冷地での位置づけ:春・秋に強い
ほうれんそうは価格だけなら7位とかなり高めです。
一度収穫すると終わるため、夏野菜のような連続収穫はできません。
その代わり、寒冷地では春や秋の冷涼な時期を利用しやすく、空いた畝へ短期間で入れられるのが利点です。
1回の作付けだけで考えるより、春作・秋作や、時期をずらした種まきを含めて使うと価値が上がります。
8位 じゃがいも
価格:533円/kg
収穫タイプ:1回
寒冷地での位置づけ:まとめて収穫しやすい
じゃがいもは単価自体は中程度ですが、比較的まとまった量を収穫できます。
収穫後にすぐ全部食べる必要がなく、保存しながら使えるのも大きなメリットです。
「少ない面積から高単価野菜を取る」というタイプではありませんが、「買うと重く、家庭で使う量も多い野菜をまとめて確保する」意味で強い候補です。
9位 にんじん
価格:495円/kg
収穫タイプ:1回
寒冷地での位置づけ:秋どりと相性が良い
にんじんも単価だけでは上位ではありません。
一方、農林水産省の2025年秋にんじんは10a当たり3,690kgと、面積あたりの収量を確保しやすい野菜です。
冷涼な時期へ向かって育てられ、日常の料理で使用頻度も高いため、家庭で消費できる量を作れば無駄になりにくいのが長所です。
10位 たまねぎ
価格:361円/kg
収穫タイプ:1回
寒冷地での位置づけ:長期栽培だが保存向き
たまねぎは今回のランキングの中では単価が低めです。
それでも10位に入れたのは、面積あたりの収量と保存性です。
農林水産省の2025年全国値では10a当たり3,790kg。
価格が低くても、まとまった量を取りやすく、収穫後に保存して長く使えます。
栽培期間は長いため、「狭い畑で最高効率」という野菜ではありません。
畑に余裕があり、普段からたまねぎを大量に使う家庭向けです。
ランキングに入れなかったけれど、条件次第で面白い野菜
アスパラガス|高単価だが、1年目だけで比較できない
アスパラガスは2,378円/kgと非常に高価です。
ただし多年草で、植えた年から一年草と同じように収穫量を比較できません。
同じ場所を数年使えるなら、長期的には面白い候補です。
「今年植えて今年どれだけ得するか」という今回のランキングとは時間軸が違うため、別枠としました。
しょうが|数字は強いが、寒冷地では条件を選ぶ
前述のとおり、計算上の小売相当額は非常に高くなります。
ただし暖かい期間を長く確保する必要があるため、寒冷地全体へ一律におすすめしにくく、総合順位から外しました。
れんこん|高単価でも普通の畑とは条件が違う
れんこんは1,877円/kgと高価ですが、水を張れる環境など、一般的な家庭菜園の畝とは違う栽培条件が必要です。
「普通の畑で何を作ると得か」という今回の比較からは外しています。
さといも|高単価だが、寒冷地では生育期間を確認
さといもも1,348円/kgと価格は高めです。
一方で暖かい時期に大きく育てる野菜なので、冷涼な地域ほど栽培期間を十分取れるかが重要です。
地域によって評価が変わりやすいため、TOP10には入れませんでした。
畑の使い方別|結局どれを選べばいい?
ランキングだけで決めにくい場合は、畑の条件から選ぶと簡単です。
| こんな人 | 候補 |
|---|---|
| 狭い場所で小売相当額を上げたい | トマト・ピーマン |
| 上方向も使って収穫したい | きゅうり・つるありさやいんげん |
| 夏に何度も収穫したい | トマト・ピーマン・きゅうり・なす |
| 春・秋の空き畝を活用したい | ほうれんそう |
| 一度にまとめて収穫したい | じゃがいも・にんじん・たまねぎ |
| 長期間同じ場所を使える | アスパラガス |
| 単価の高さを優先したい | さやいんげん |
「どれが一番得か」は、スーパーの値札だけでは決まりません。
普段よく食べる野菜か、収穫した分を無駄なく使えるかも重要です。
たとえば、きゅうりが大量に取れても食べきれずに捨ててしまえば、数字上の小売相当額が高くても実際のお得感は下がります。
逆に、毎週買っているトマトやピーマンを庭から取れるなら、買い物で実感しやすい節約になります。
育てやすさを優先するなら、ランキングは別で考える
この記事では、価格と収穫量を中心に比較しました。
「初心者でも失敗しにくい野菜が知りたい」
「手間が少ない野菜から選びたい」
という場合は、経済性とは順位が変わります。
寒冷地の9月に始めやすい野菜や、初心者向け・手間少なめの候補は、次の記事で別に整理しています。
経済性と育てやすさを分けて考えると、自分の家庭菜園に合う野菜を選びやすくなります。
まとめ|「高い野菜」より「高くて、たくさん取れる野菜」が強い
今回の比較で分かったのは、スーパーで高い野菜をそのまま育てれば一番得、というわけではないことです。
価格だけなら、さやいんげん、アスパラガス、しょうがなどが上位でした。
しかし、面積あたりの収穫量まで考えると、トマト・ピーマン・きゅうりのように、夏の間に繰り返し収穫できる野菜が強くなります。
寒冷地の一般的な家庭菜園で考えた今回のTOP5は、
🥇トマト
🥈ピーマン
🥉きゅうり
4位さやいんげん
5位なす
としました。
ただし、本当に得かどうかは「収穫した野菜をどれだけ家庭で使うか」で変わります。
スーパーで毎週買っている野菜を、自分の畑から必要な分だけ収穫できる。
家庭菜園では、その状態がいちばん分かりやすい“得”です。
調査データと出典
小売価格
2026年7月の全国平均小売価格を基準に比較。野菜価格は地域・店舗・時期・規格によって変動します。
収量
農林水産省「野菜生産出荷統計」を使用。トマト・ピーマン・きゅうり・なすは2025年産の夏秋区分を中心に比較し、その他は2024年産等の公表値を参考にしています。
小売相当額
小売価格(円/kg)× 10a当たり収量(kg)÷ 1,000 で算出。種苗・肥料・資材・水道代・作業時間などは差し引いていないため、「利益」ではありません。


