ハクサイやキャベツの外葉や株元が、水を含んだように変色して柔らかくなっているときは、軟腐病を疑います。軟腐病は細菌による病気で、地面に接する葉や葉柄から水浸状の症状が始まり、進むと褐変・軟化腐敗し、独特の悪臭を伴うことがあります。
特に、雨が続いたあとや排水の悪い畑、害虫の食害痕や管理作業で傷ができた株では注意が必要です。症状が進むと外側だけでなく結球内部まで軟化していることがあります。
軟腐病の基本情報・早見表
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 病名 | 軟腐病 |
| 原因 | 細菌による病気。Pectobacterium属など複数の細菌が関与する |
| 主な対象 | ハクサイ、キャベツ、ダイコン、ジャガイモなど |
| 初期症状 | 地面に接する葉や葉柄に水浸状の小斑点が出る |
| 進行症状 | 褐変、軟化腐敗、外葉のしおれ、悪臭 |
| 発生しやすい条件 | 高温、降雨、過湿、排水不良、傷口、害虫の食害痕 |
| 発病適温の目安 | ハクサイでは22〜30℃とする公的資料がある |
| 防除の基本 | 発病株の除去、排水改善、傷を減らす、害虫防除、輪作、必要に応じて登録農薬 |
軟腐病の見分け方・特徴

軟腐病で最初に確認したいのは、水浸状の病斑です。地面に接する葉や葉柄が、水を含んだように半透明〜濃い色へ変わり、しだいに褐色になります。
症状が進むと組織が柔らかくなり、外葉がしおれ、腐敗部分が広がります。進行した株では独特の悪臭を伴うことがあります。
黒腐病では葉の縁からV字形または不整形に黄変し、葉脈が黒く変色するのが代表的です。軟腐病では、葉縁のV字黄変よりも水浸状・軟化・腐敗を重視して見分けます。
症状が出やすい場所

ハクサイやキャベツでは、まず地面に接する葉、葉柄・株元を確認します。土や水がはねやすく、傷もできやすい場所です。
- 地面に接する葉:水浸状の小斑点や褐変がないか
- 葉柄・株元:柔らかくなった部分や崩れ始めた部分がないか
- 結球内部:外側だけの症状に見えても、内側まで軟化していないか
外葉だけが傷んでいるように見えても、結球内部まで腐敗が進んでいる場合があります。外から見える症状が軽くても、株元に軟化や悪臭がある場合は内側も確認します。
正常株と軟腐病の違い

正常な株では、葉柄や株元がしっかりしていて、水を含んだような変色や柔らかい腐敗部分はありません。
軟腐病では、株元や葉柄の一部が水浸状になり、淡褐色〜褐色へ変わりながら軟化します。進行すると組織が崩れやすくなり、悪臭が出ることもあります。
菌核病でも水浸状の病斑から柔らかく腐敗することがありますが、菌核病では白い綿のような菌糸や黒い菌核が確認されることがあります。軟腐病ではこうした白い菌糸より、軟化腐敗と悪臭が見分けの手掛かりになります。
見つけたら最初に確認すること

軟腐病らしい症状を見つけたら、腐敗部分だけでなく、病気が発生しやすくなった条件も確認します。
- 株元:水浸状、褐変、軟化があるか
- 傷口:葉折れや管理作業による傷がないか
- 水はけ:雨のあと畝に水が残っていないか
- 食害痕:害虫がかじった傷がないか
軟腐病の病原細菌は傷口から侵入しやすいため、害虫の食害も見逃せません。たとえばキスジノミハムシはアブラナ科野菜を食害するため、発生している場合はキスジノミハムシの対策もあわせて行います。
軟腐病が発生しやすい条件
気温が高い時期
茨城県のハクサイ軟腐病の資料では、発病適温は22〜30℃とされています。寒冷地でも、夏から初秋の高温期や、秋作で気温が高めに推移する時期は注意します。
雨が続く・水はけが悪い
降雨が続くと発病が増えやすくなります。地下水位が高い場所や、雨のあと水が長く残る畑では、排水溝や高畝などで過湿を避けます。
葉や株元に傷がある
害虫の食害痕、葉を折った傷、管理作業でできた傷などは病原細菌の侵入口になります。特に降雨の前後は、葉を大きく傷つける作業を避けます。
家庭菜園でできる軟腐病対策
発病のひどい株は畑から取り除く
症状が大きく進んだ株は、周囲への伝染源にならないよう畑の外へ持ち出して適切に処分します。腐敗した残さをそのまま畝へ残したり、すき込んだりしないようにします。
排水を改善する
水がたまりやすい場所では、排水溝を整える、高畝にするなどして過湿を避けます。毎年同じ低い場所で発生する場合は、畝の位置も見直します。
傷をできるだけ減らす
葉かきや管理作業では、必要以上に葉を折ったり傷つけたりしないようにします。雨の直前・直後に大きな傷ができる作業を行うのも避けます。
害虫を早めに防除する
食害痕は病原細菌の侵入口になります。葉に穴が増えているときは、原因害虫を確認して早めに対処します。
連作を避ける
茨城県のハクサイ軟腐病の防除資料では、イネ科やマメ科作物との3〜4年輪作が防除ポイントとして示されています。家庭菜園でも、発生した場所で同じ種類の野菜を続けず、別の科の作物を組み込みます。
ただし、輪作年数は作物や圃場条件によって考え方が変わるため、「3〜4年空ければ必ず発病しない」という意味ではありません。排水や傷対策、害虫防除と組み合わせます。
農薬を使う場合の注意
軟腐病には、ハクサイ、キャベツ、ダイコンなどで登録された農薬があります。ただし、作物・製品によって使用時期、希釈倍数、使用回数、収穫前日数が異なります。
登録内容は変更されることがあるため、この記事では特定の商品名や固定の使用量を一律には示しません。使用する場合は、育てている作物と「軟腐病」への最新登録を農薬登録情報提供システムで確認し、必ず製品ラベルに従ってください。
軟腐病になった野菜は食べられる?
水浸状になって柔らかく腐敗している部分や、悪臭が出ている部分は食用にしません。軟腐病は外側だけに見えても結球内部まで軟化が進んでいる場合があるため、腐敗部分だけを切り取れば必ず安全とは考えない方がよいです。
特に、内部まで柔らかい、汁が出ている、強い変色や悪臭がある場合は、無理に利用せず処分します。
予防と再発防止のポイント
- 雨のあと水が残る畑は排水を改善する
- 高温期は株元の蒸れと過湿に注意する
- 管理作業で葉や株元を傷つけすぎない
- 害虫の食害を早めに見つけて防除する
- 発病株は畑の外へ持ち出して適切に処分する
- 発生した場所では輪作を取り入れる
- 必要に応じて登録農薬を適正に使用する
よくある質問
軟腐病の最初の症状は?
地面に接する葉や葉柄に、水を含んだような水浸状の小斑点が出るのが代表的です。その後、褐変して組織が柔らかくなります。
軟腐病は臭いで分かりますか?
進行した軟腐病では独特の悪臭が出ることがあります。ただし、初期には臭いが目立たない場合もあるため、水浸状の病斑や軟化も合わせて確認します。
黒腐病との違いは?
黒腐病では葉縁からV字形に黄変し、葉脈が黒く変色するのが代表的です。軟腐病では水浸状の病斑から軟化腐敗へ進む点が大きな違いです。
菌核病との違いは?
菌核病でも柔らかく腐敗しますが、白い綿のような菌糸や黒い菌核が見られることがあります。軟腐病では強い軟化腐敗と悪臭が手掛かりになります。
雨が続くと発生しやすいですか?
はい。降雨が続くと発病が増えやすく、排水不良や過湿も発生を助長します。雨のあと水が残る畝では排水を改善します。
害虫も軟腐病に関係しますか?
関係します。食害痕は病原細菌の侵入口になるため、葉に穴を開ける害虫を早めに防除することも予防につながります。
農薬を散布すれば腐った株は元に戻りますか?
すでに軟化腐敗した組織が元の健康な状態へ戻るわけではありません。薬剤は登録内容に従い、予防や被害拡大を抑える目的を含めて適切な時期に使用します。重症株は畑外へ持ち出して処分します。


