ハクサイやキャベツ、ブロッコリーなどのアブラナ科野菜が、晴れた日の日中にしおれたり、生育が遅れたりしているときは、根こぶ病も確認します。地上部だけでは原因が分かりにくい病気ですが、株を抜くと根に大小不揃いのこぶができているのが特徴です。根こぶ病は土壌中に長く残るため、発病株だけを処分して終わりではなく、連作、水はけ、土壌酸度、次作の計画まで含めて対策します。
根こぶ病の基本情報・早見表
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 病名 | 根こぶ病 |
| 原因 | Plasmodiophora brassicae。現在は原生生物の仲間として扱われる |
| 主な対象 | ハクサイ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、カブ、コマツナ、チンゲンサイなどのアブラナ科野菜 |
| 地上部の症状 | 日中のしおれ、生育不良、淡い黄化など |
| 根の症状 | 主根・側根に大小不揃いの不規則なこぶができる |
| 発生しやすい条件 | アブラナ科の連作、酸性土壌、排水不良、地下水位が高い畑など |
| 発病しやすい温度 | 公的資料では18〜25℃程度で発病が多い例がある |
| 防除の基本 | 発病根の除去、輪作、排水改善、酸度矯正、抵抗性品種、必要に応じた登録農薬を組み合わせる |
根こぶ病は一度発生すると土壌中に病原体が長期間残る難防除病害です。発病してから一つの方法だけで治すのではなく、次作以降も含めた総合的な対策が重要です。
根こぶ病の見分け方・特徴

地上部では、日中に葉がしおれる、生育が遅れる、葉色が淡くなるなどの症状が見られます。水切れにも似るため、葉だけを見て根こぶ病と断定することはできません。
特徴的なのは根です。株を抜くと、主根や側根が不規則にふくらみ、大小不揃いのこぶができます。重症になると根全体の形が大きく乱れ、水分や養分を十分に吸収できなくなります。
根こぶ病のこぶは、ネコブセンチュウによる細かな粒状のこぶや、根腐れによる黒変・腐敗とは見え方が異なります。根の「不規則な肥大」と地上部の生育不良を合わせて確認します。
症状は株元・主根・側根を確認する

根こぶ病は土の中で進むため、地上部のしおれだけでは見落としやすい病気です。生育の悪い株があれば、株元から主根・側根まで一続きで確認します。
- 株元:地上部の生育と根のつながりを確認する
- 主根:太い根が不規則にふくらんでいないか確認する
- 側根:枝分かれした根にも大小のこぶがないか確認する
同じ畝で一株見つかった場合は、近くのアブラナ科野菜にも生育差がないか確認してください。土壌や水を介して広がるため、発病株の根に付いた土を別の畝へ運ばないことも重要です。
正常な根と根こぶ病の根の違い

正常な根では、主根から側根が自然に伸び、根先に向かって細くなります。根こぶ病では、主根や側根の一部または広い範囲が不規則に肥大し、根本来の形が崩れます。
こぶの大きさは一定ではありません。小さな膨らみが複数できる場合もあれば、根の広い範囲が一体化するように大きく変形する場合もあります。
見つけたら最初に確認すること

根こぶ病らしい症状を見つけたら、その株だけを見るのではなく、畑の条件まで確認します。
- 根のこぶ:大小不揃いの不規則な肥大があるか
- 同じ畝:近くのアブラナ科野菜にも生育不良がないか
- 水はけ:雨のあと水が長く残る場所ではないか
- 連作:近年、同じ場所でアブラナ科野菜を続けていないか
発病株は、こぶが腐って土へ病原体を多く残す前に根ごと抜き取り、畑や水路へ放置しないようにします。根に付いた土を不用意に他の畝へ移さないよう注意します。
根こぶ病が発生しやすい条件
アブラナ科野菜の連作
ハクサイのあとにキャベツ、そのあとにブロッコリーというように、野菜名を変えてもアブラナ科を同じ場所で続けると、根こぶ病の発生リスクが高まります。
多発した畑では、茨城県の防除資料でアブラナ科以外の作物による4年程度の輪作が示されています。ただし、根こぶ病の休眠胞子は土壌中で非常に長く生存するため、4年空ければ必ず安全になるという意味ではありません。
酸性土壌
根こぶ病は酸性土壌で発生が助長されます。酸性が強い場合は、土壌診断を行い、作物に合う範囲へ酸度を矯正します。
茨城県のアブラナ科野菜の防除資料では、酸性土壌で石灰を施用しpH6.5以上にする方法が一つの目安として示されています。一方、土壌条件によってはpHを上げても発病を十分に抑えられない例があるため、「石灰を入れれば治る」とは考えません。
排水不良・過湿
地下水位が高い場所や、水がたまりやすい畑でも発生が多くなります。高畝にする、排水路を整える、低い場所へアブラナ科を集中して植えないなど、畑全体の水はけを見直します。
家庭菜園でできる根こぶ病対策
発病した根を畑に残さない
根こぶ病を確認した株は、根を畑へ残さないことが重要です。こぶが付いた根をその場へすき込んだり、畑の端や水路へ放置したりしないようにします。
作業後のスコップや長靴に付いた土も、別の畝へ病土を移す原因になります。発生場所で使った道具は、付着した土を落としてから他の場所で使います。
次作はアブラナ科を避ける
多発した場所では、次作にキャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カブ、コマツナなどのアブラナ科を続けないようにします。家庭菜園では、イネ科など別の科を組み込んで輪作します。
根こぶ病菌は土壌中に長く残るため、輪作だけで完全に消えるわけではありません。排水、酸度、抵抗性品種などと組み合わせます。
水はけを改善する
雨のあと水が長く残る畝では、排水溝や高畝を検討します。毎年同じ低い場所へアブラナ科を植えている場合は、作付け場所そのものを変えるのも一つの方法です。
土壌酸度を確認してから矯正する
石灰資材を使う場合は、量を感覚だけで決めず、できれば土壌のpHを確認します。必要量は土質や現在のpH、使用する資材によって変わります。
根こぶ病対策だけを理由に石灰を大量投入すると、他の養分吸収へ影響することがあります。「石灰を多く入れるほどよい」という使い方は避けます。
根こぶ病抵抗性品種を利用する
ハクサイなどでは、根こぶ病抵抗性を持つCR品種が利用できます。発生歴のある畑では選択肢になります。
ただし、根こぶ病菌には病原性の異なるグループがあり、品種によって抵抗性の反応も異なります。「CR品種なら絶対に発病しない」わけではありません。輪作や排水改善などと組み合わせます。
農薬を使う場合の注意
根こぶ病では、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、カブ、ダイコンなどに登録された土壌処理剤や育苗期の処理剤があります。ただし、作物や製品によって使用時期、使用量、使用方法、使用回数が大きく異なります。
特に根こぶ病用の土壌処理剤は、播種・定植前に使うものが多く、発病株を見つけてから葉へ散布すれば治るというものではありません。使用する場合は、育てる作物と根こぶ病への登録を確認し、製品ラベルと最新の農薬登録情報に従ってください。
登録内容は変更されるため、この記事では商品名や固定の使用量を一律には指定しません。
根こぶ病になった野菜は食べられる?
今回確認した国内の公的な根こぶ病防除資料は、病気になった野菜の「食用可否」を直接示していません。そのため、本記事では「根こぶ病なら必ず食べられる」「必ず食べられない」と一律には断定しません。
根こぶ病は根の機能を損ない、生育不良や品質低下を起こします。さらに腐敗など別の異常が出ている場合は食用に回さない方が安全です。特にダイコンやカブのように根そのものを食べる野菜では、症状が収穫部位へ直接出るため、無理に利用せず品質を確認してください。
予防と再発防止のポイント
- アブラナ科野菜を同じ場所で続けない
- 発病した根を畑や水路へ残さない
- 病土をスコップや長靴で別の畝へ運ばない
- 雨のあと水が残る場所は排水を改善する
- 酸性土壌は土壌診断をもとに適正に矯正する
- 発生歴がある場所では抵抗性品種を検討する
- 必要なら作付け前に登録農薬を検討する
- 一株で見つけたら同じ畝のアブラナ科も確認する
よくある質問
根こぶ病はどんな病気ですか?
アブラナ科野菜の根に大小不揃いのこぶができる土壌病害です。根の働きが弱くなり、地上部ではしおれ、生育不良、黄化などが見られます。
水切れとの見分け方は?
地上部のしおれだけでは区別できません。水分を確認しても生育が回復しにくい株では、根を抜いて不規則なこぶがないか確認します。
石灰をまけば根こぶ病は治りますか?
発病した株の根を正常に戻す治療にはなりません。酸性土壌の矯正は発病を抑える対策の一つですが、排水、輪作、発病根の処分、抵抗性品種などと組み合わせます。
何年輪作すれば大丈夫ですか?
多発畑ではアブラナ科以外で4年程度輪作する公的な目安があります。ただし休眠胞子は土壌中で長期間生存するため、4年空ければ必ず安全になるわけではありません。
CR品種なら根こぶ病になりませんか?
必ず防げるわけではありません。根こぶ病菌には病原性の違いがあり、品種によって抵抗性反応も異なります。CR品種も他の対策と組み合わせて使います。
発病株は畑にすき込んでもいいですか?
おすすめしません。こぶが付いた根を畑に残すと次作の伝染源になります。根ごと抜き取り、畑や水路に放置せず適切に処分します。
農薬は発病してから使えば治りますか?
根こぶ病の登録農薬には播種・定植前の土壌処理などが多く、発病株を見つけてから葉へ散布して治すタイプとは異なります。作物と根こぶ病への最新登録と製品ラベルを確認してください。


