タマネギの葉の中央から先端にかけて、にじんだような暗緑色の斑点が出て、その部分が青白く変わりながら折れ曲がっているときは、白色疫病を疑います。進行すると葉先が垂れ下がり、古い病斑は白〜灰白色になるため、単なる葉先枯れや寒さによる傷みと見分けにくいことがあります。
白色疫病は、雨や多湿と深く関係するタマネギの病気です。家庭菜園では「病斑が水っぽいか」「青白く変色しているか」「病斑部で葉が折れているか」「かびが見えるか」の4点を整理すると、べと病との区別がしやすくなります。
タマネギ白色疫病の基本情報・早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 病名 | 白色疫病 |
| 病原 | Phytophthora porri による病害 |
| 主な症状 | 葉の中央〜先端に暗緑色の水浸状病斑ができ、青白い油浸状へ変化。病斑部で折れ、葉先が下垂・先枯れする |
| 古い病斑 | 白色〜灰白色になり、健全部との境が目立つ |
| 発生しやすい条件 | 降雨、多湿、排水不良、葉が濡れた状態が続く環境。病原菌の生育・胞子形成は15〜20℃前後で活発になりやすい |
| 似た病気 | べと病 |
| 対策の基本 | 発病株の除去、排水改善、健全苗の使用、窒素過多を避ける、残さ処分、輪作、必要に応じた登録農薬の確認 |
タマネギ白色疫病の見分け方・特徴

白色疫病では、はじめに葉の中央部から先端側へ、1〜3cmほどの暗緑色で水がしみたような不整形病斑が現れます。初期は輪郭がややぼんやりしているため、雨のあとに葉が濡れているだけのように見えることがあります。
病斑が広がると、色は青白色〜乳白色の油染みのようになり、病斑部分を境に葉が曲がります。さらに進むと葉先が垂れ下がり、よじれるように先枯れします。古くなった病斑は白〜灰白色に変わり、健全部との境が分かりやすくなります。
- 水浸状の病斑:初期は暗緑色で、濡れたように見える
- 青白く変色:病斑が拡大すると油染み状の青白色になる
- 病斑部で折れる:病斑を境に葉身が曲がる
- 葉先が下垂:進行すると垂れ下がり、こより状に先枯れする
症状が出やすい場所

症状は主に葉に出ます。とくに確認したいのは、葉の中央部から先端側です。葉先だけが均一に枯れているのではなく、途中に水浸状〜青白色の病斑があり、そこで折れ曲がっているかを見ます。
畑では、排水の悪い場所や水がたまりやすい部分から発生が目立つことがあります。白色疫病は圃場の一部にまとまって現れ、その後、畝に沿って広がる傾向も知られています。1株だけで判断せず、同じ畝の周辺株まで確認するのがポイントです。
タマネギ白色疫病とべと病の違い

白色疫病とべと病は、どちらも湿気が多い条件で発生しやすく、葉が曲がったり枯れたりするため、見た目が似ることがあります。
| 比較点 | 白色疫病 | べと病 |
|---|---|---|
| 初期病斑 | 暗緑色で水浸状、不整形 | 淡黄色〜黄緑色の長い楕円形・大型病斑など |
| 進行後の色 | 青白色〜白・灰白色 | 黄色っぽい病斑が広がる |
| 葉の折れ | 病斑部で折れ曲がり、葉先が下垂しやすい | 被害葉が病斑部で折れて枯れることがある |
| かび | 通常は肉眼で目立つかびを診断点にしない | 多湿時に白色〜暗紫色のかびが見えることがある |
| 見分けの軸 | 水浸状→青白色、病斑部で折れる | 淡黄色の大型病斑+湿るとかび |
迷ったときは、まず病斑が水浸状から青白色へ変わっているか、次に湿った朝などに病斑表面へ白〜暗紫色のかびが見えるかを確認します。べと病については、べと病の対策記事もあわせて確認してください。
見つけたら最初に確認すること

- 病斑の色:暗緑色から青白色・白色へ変わっているか
- 水浸状か:初期病斑が濡れたように見えるか
- 折れ・下垂:病斑部分を境に葉が曲がっているか
- かびの有無:白〜暗紫色のかびが見えるなら、べと病も強く疑う
白くなった部分だけを見ると、古い病斑なのか別の病気なのか判断しにくくなります。可能なら、まだ青白色になり切っていない初期の水浸状部分も探してください。
白色疫病が発生しやすい時期・条件
白色疫病は水との関係が強く、降雨が続く時期や排水不良の畑で広がりやすい病気です。病原菌は幅広い温度で生育しますが、菌糸の生育や遊走子のう形成は15〜20℃前後が好適とされています。
暖地の秋まきタマネギでは、秋の降雨後や冬〜春の雨が多い時期に発生が知られています。一方、寒冷地では作型や融雪時期が異なるため、暦をそのまま当てはめるのではなく、冷涼〜やや温暖な時期に雨が続き、葉や畝が長く湿る条件を警戒する方が実用的です。
雨が続き、排水が悪い
白色疫病は多湿条件で増えやすく、病原菌の伝染にも雨滴や水が大きく関わります。水がたまりやすい畝や低い場所では、とくに周辺株まで丁寧に確認します。
葉が長時間濡れている
雨や水はねで病原菌が周囲へ移りやすくなります。家庭菜園では、過度な散水を避け、葉や土がいつまでも濡れ続けないように管理します。
感染した苗や被害残さがある
病原菌は被害残さや感染苗が発生源になることがあります。定植時は健全な苗を選び、発病した株や被害葉を畑に残さないことが重要です。
家庭菜園でできる白色疫病対策
1. 発病株を早めに取り除く
白色疫病らしい病斑を見つけたら、周囲への広がりを抑えるため、発病株は早めに除去します。被害葉や株を畑に放置したり、次作へ持ち越すような形で残したりしないようにします。
2. 排水を良くする
水がたまりやすい場所では、高畝にする、排水路を確保するなどして、雨のあとに畝が長く過湿にならないようにします。白色疫病対策では、薬剤以前に排水改善が基本です。
3. 健全な苗を使う
感染した苗が発生源になることがあるため、定植する苗は病斑や不自然なしおれがないものを選びます。育苗中から葉の中央〜先端に水浸状の病斑がないか確認します。
4. 窒素を効かせすぎない
総合防除の基本では、窒素過多を避けることも予防策に含まれています。必要以上の追肥で軟弱に育てず、タマネギの生育に合わせて適正量を守ります。
5. 連作を避ける
発生履歴がある場所では、同じ畑でタマネギや近いネギ類を繰り返し作るのを避けます。国の総合防除指針では、白色疫病対策として1〜2年間の輪作も示されています。
6. 必要に応じて登録農薬を確認する
発病初期の薬剤防除が必要になる場合があります。農薬を使うときは、その時点でタマネギ・白色疫病に登録があるかを農林水産省の農薬登録情報提供システムなどで確認し、ラベルの希釈倍率・使用時期・使用回数を守ってください。登録内容は変更されるため、記事内の古い商品名だけで判断しないことが大切です。
白色疫病が出たタマネギは食べられる?
白色疫病の一次資料は、病気の拡大防止を目的に発病株の除去を勧めています。家庭菜園では、病葉を食用に回すより、病気を広げないための処分を優先してください。
球の食用可否について、今回確認した公的・種苗会社の資料には一律の判断基準が示されていません。球まで軟らかく腐っている、異臭がある、広い変色がある場合は食用にせず廃棄します。見た目だけで安全性を断定しないようにしてください。
予防と再発防止のポイント
- 排水の良い場所で育てる
- 雨のあとに水がたまり続ける畝を改善する
- 健全苗だけを定植する
- 窒素過多を避ける
- 発病株・被害残さを畑に残さない
- 発生履歴のある場所では輪作する
- 雨が多い時期は同じ畝の周囲株まで観察する
よくある質問
白色疫病とべと病はどう見分けますか?
白色疫病は暗緑色の水浸状病斑が青白くなり、病斑部で葉が折れて下垂するのが重要な特徴です。べと病は淡黄色〜黄緑色の病斑が出て、多湿時に白色〜暗紫色のかびが見えることがあります。
白くなった葉だけ見れば白色疫病と分かりますか?
白い病斑だけでは判断しにくいです。初期の水浸状病斑、青白い変色、病斑部の折れ・下垂があるかを合わせて確認してください。
どんな天気のときに発生しやすいですか?
雨が続き、畑や葉が長く湿る条件で注意が必要です。病原菌の生育や胞子形成は15〜20℃前後が好適とされ、冷涼〜やや温暖な多湿条件で広がりやすくなります。
発病した葉だけ切れば大丈夫ですか?
病気が株や周囲へ広がっている可能性があるため、1枚の病葉だけで判断せず株全体と周辺株を確認します。白色疫病が疑われる発病株は早めに除去するのが基本です。
同じ畑で翌年もタマネギを作れますか?
発生した畑では連作を避けるのが基本です。国の総合防除指針では、1〜2年間の輪作が予防策として示されています。
寒冷地では何月に注意すればいいですか?
暖地の秋まき作型の発生月をそのまま当てはめず、15〜20℃前後の気温帯で雨が続く時期、融雪後や春の長雨など、畑が過湿になる条件を優先して警戒してください。


