キャベツ萎黄病の対策|片側の黄化・株のゆがみ・維管束褐変を解説

病気

キャベツの下葉が黄色くなり、株の片側だけ生育が悪く、全体がゆがんで見えるときは、キャベツ萎黄病を疑います。萎黄病では、黄化が葉や株の片側に強く出ることがあり、症状が進むと下葉が落ち、生育が大きく低下します。

キャベツ萎黄病は、フザリウム菌による土壌伝染性の病気です。見分けるときは、単に「葉が黄色い」だけで判断せず、下葉からの黄化、左右差、株のゆがみ、茎や葉柄などの維管束褐変を組み合わせて確認します。黒腐病のような葉縁からのV字黄化や黒い葉脈が目立つ場合は、別の病気も検討します。

キャベツ萎黄病の基本情報・早見表

項目内容
病名キャベツ萎黄病
病原Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans による糸状菌病
主な症状下位葉からの黄化、葉・株の片側に強い黄化、生育不良、株のゆがみ、落葉、維管束褐変
発生しやすい条件高温期。発病適温は26〜30℃とされ、18℃以上では発病する可能性がある
伝染土壌伝染。被害残さ、感染苗、汚染土、農具・履き物・資材などを介して広がることがある
似た病気黒腐病、バーティシリウム萎凋病、生理的な黄化など
対策の基本抵抗性品種、連作回避、発病株・残さの適切な処分、汚染土を持ち込まない、高温期の作型回避、必要に応じた土壌消毒

キャベツ萎黄病の見分け方・特徴

キャベツ萎黄病の下葉からの黄化、片側性、株のゆがみ、維管束褐変を示した図解

キャベツ萎黄病を見分けるときは、次の4点をまとめて確認します。

  • 下葉から黄化:外側の古い葉から黄緑〜黄色へ変わり、症状が進むと落葉することがあります。
  • 片側に出やすい:1枚の葉の片側、または株の片側に黄化や生育不良が強く出ることがあります。
  • 株がゆがむ:片側の発育が悪くなるため、葉の大きさや展開に差が出て株全体が非対称になります。
  • 維管束が褐変:茎・葉柄・根などを切ると、内部の維管束が褐色〜茶褐色に変色することがあります。

肥料不足や根傷みでも下葉が黄色くなることがありますが、その場合は株全体が比較的均一に黄化することが多く、萎黄病のような強い左右差や維管束褐変が見られないことがあります。画像だけで断定せず、複数の特徴を合わせて判断します。

症状が出やすい場所

キャベツ萎黄病の症状が出やすい下葉・外葉、葉柄、茎、根を示した図解

萎黄病では葉だけでなく、葉柄・茎・根の内部も確認ポイントになります。

  • 下葉・外葉:黄化が始まりやすい場所。片側だけ強く黄色くなっていないか確認します。
  • 葉柄:切断面の維管束が褐色に変わっていないかを見ます。
  • 茎:断面の維管束部に褐色〜茶褐色の変色がないか確認します。
  • 根:大きなこぶやドロドロした腐敗ではなく、内部の維管束変色が判断材料になります。

根に大きなこぶが多数できている場合は、萎黄病よりも根こぶ病を確認してください。

キャベツ萎黄病と黒腐病の違い

キャベツ萎黄病の片側からの黄化・維管束褐変と、黒腐病の葉縁V字黄化・葉脈黒変を比較した図解

キャベツ萎黄病と黒腐病は、どちらも葉が黄色くなり、生育が悪くなることがあります。ただし、黄化の出方と葉脈の変色を見ると区別しやすくなります。

確認点キャベツ萎黄病黒腐病
黄化の出方下葉から黄化し、葉や株の片側に強く出ることがある葉の縁から内側へV字形の黄〜黄褐色病斑が広がる
株の形片側の生育不良でゆがみ・非対称が出やすい片側性のゆがみより、葉縁の病斑が目立つ
葉脈黒い網目状の葉脈を主徴としない病斑内や周辺の葉脈が暗紫〜黒褐色に変わることがある
内部茎・葉柄・根の維管束が褐変する葉脈の黒変とV字病斑が重要な見分けポイント

葉のふちから明瞭なV字形に黄色くなり、その中の葉脈が黒っぽく見える場合は、黒腐病の対策も確認してください。

バーティシリウム萎凋病とも似る

キャベツのバーティシリウム萎凋病でも外葉の黄化や維管束褐変が起こり、葉縁からV字形に黄化することがあります。萎黄病は高温を好み、片側性の黄化や生育不良が重要な手掛かりです。一方、バーティシリウム萎凋病は比較的冷涼な条件で問題になりやすいため、発生時の気温や病斑の形も合わせて判断します。

見つけたら最初に確認すること

キャベツ萎黄病を見つけたときに確認する左右差、株のゆがみ、下葉の黄化、茎断面の維管束褐変を示した図解

キャベツに萎黄病らしい症状を見つけたら、次の順に確認します。

  • 下葉の黄化:外葉・下葉から黄色くなっているか。
  • 左右の差:葉や株の片側だけ黄化や生育不良が強くないか。
  • 株のゆがみ:左右の葉量や葉の大きさに差が出て、株が非対称になっていないか。
  • 茎の断面:維管束部分が褐色〜茶褐色に変色していないか。

黄化が葉の縁からV字形に始まっている場合、または葉脈が黒く変色している場合は黒腐病も疑います。病徴だけで判断が難しいときは、発病株をむやみに別の畝へ移さず、地域の病害虫防除所や農業関係機関への相談も検討してください。

キャベツ萎黄病が発生しやすい時期・条件

キャベツ萎黄病は高温を好む病気で、発病適温は26〜30℃とされています。25℃以下では発病まで時間がかかる傾向がありますが、18℃以上では発病する可能性があります。寒冷地でも、夏どり・秋どりキャベツの育苗や定植後に高温が続く時期は注意が必要です。

土壌中に病原菌が残る

病原菌は発病株の体内で厚膜胞子を形成し、被害残さとともに土へ入ります。厚膜胞子は土壌中で数年から十数年生き残ることがあるため、一度多発した場所では短期間の休作だけで問題が消えるとは限りません。

汚染土や苗・資材で広がることがある

感染苗や汚染された育苗土、農具、履き物、資材、かん水などを介して病原菌が移動することがあります。発病した畝の土を長靴やスコップに付けたまま別の畝へ移動しないようにします。

家庭菜園でできるキャベツ萎黄病対策

1. 抵抗性品種を選ぶ

常発地では、萎黄病抵抗性を持つYR系統などの品種を選ぶ方法が有効です。品種の抵抗性は種苗会社の表示を確認し、栽培時期や用途に合うものを選びます。

2. 発病株と残さを畑に残さない

発病株は病原菌を含む可能性があるため、早めに抜き取り、畑や通路へ放置しないようにします。収穫後も根や茎などの被害残さを残さず、地域のルールに従って適切に処分します。

3. 汚染土を別の畝へ運ばない

スコップ、移植ごて、長靴、育苗トレーなどに付いた土は、作業場所を変える前に落とします。発病畝の土を苗床や別区画へ移さないことも重要です。

4. 連作を避ける

発病圃場では、アブラナ科を続けず、ユリ科やイネ科などを組み合わせて4年程度輪作する方法が耕種的防除として示されています。ただし病原菌は土壌中で長く生き残るため、輪作だけで完全に病原菌が消えるとは考えず、抵抗性品種や圃場衛生と組み合わせます。

5. 高温期の作型を避ける

萎黄病は高温で発生しやすいため、常発地では極端な高温期に感受性品種を作らないことも対策になります。寒冷地では暦だけで決めず、育苗期・定植後の気温推移を見ながら作型を調整します。

6. 多発地では土壌消毒も選択肢

多発圃場では土壌消毒が対策の選択肢になります。ただし、土壌くん蒸剤などは処理方法や安全管理が重要で、家庭菜園で気軽に追加散布するタイプの対策ではありません。必要な場合は最新の農薬登録と製品ラベルを確認し、不明点は地域の指導機関へ相談してください。

農薬を使う場合の注意

2026年9月4日に農林水産省の農薬登録情報提供システムを確認すると、キャベツの萎黄病に登録のある土壌処理剤が確認できます。ただし、登録内容は変更されることがあり、使用時期・処理量・回数・処理方法も製品ごとに異なります。

萎黄病は土壌伝染性の病気なので、症状が出た葉へ薬剤を散布して治すという考え方ではなく、発生前の土壌対策や抵抗性品種、汚染土を広げない管理が基本です。農薬を使う場合は、必ず「キャベツ」と「萎黄病」の最新登録を確認し、製品ラベルどおりに使用してください。

キャベツ萎黄病になったキャベツは食べられる?

今回確認した病害資料には、発病したキャベツの食用安全性について一律の判断基準は示されていません。一方で、病勢が進んだ株は生育が著しく悪くなり、結球品質も大きく低下するとされています。

家庭菜園では、強く黄化・萎縮した株や内部まで傷みが進んだ株を無理に食用へ回すより、発病株を早めに除去して土壌への病原菌の持ち込みを減らすことを優先します。軟化、腐敗、異臭など別の傷みがある場合は食用にしないでください。

予防と再発防止のポイント

  • 下葉からの黄化と左右差を早めに見つける
  • 茎や葉柄の断面で維管束褐変を確認する
  • 発病株と根・茎などの残さを畑に残さない
  • 発病畝の土を農具や長靴で別の畝へ運ばない
  • 常発地では萎黄病抵抗性品種を選ぶ
  • アブラナ科の連作を避ける
  • 高温期の作型を避けられる場合は調整する
  • 必要に応じて登録農薬・土壌消毒を検討する

キャベツの栽培全体の管理はキャベツの育て方も参考にしてください。

よくある質問

キャベツ萎黄病の初期症状は?

下位葉・外葉から黄化が始まり、葉や株の片側に症状が強く出ることがあります。左右の生育差が大きくなると、株がゆがんで見えるようになります。

黒腐病との一番分かりやすい違いは?

黒腐病は葉の縁から内側へV字形に黄化し、病斑内や周辺の葉脈が黒く見えるのが代表的です。萎黄病は下葉からの黄化、片側性、株のゆがみ、維管束褐変を組み合わせて確認します。

茎を切ると何が分かりますか?

萎黄病では茎や葉柄、根の維管束が褐色〜茶褐色に変色することがあります。断面全体が腐っているかではなく、維管束部分の変色を確認します。

寒冷地でもキャベツ萎黄病は発生しますか?

発生します。萎黄病は高温を好み、26〜30℃が発病しやすい温度域とされています。寒冷地でも夏季の育苗・定植後など、高温条件が続く時期は注意が必要です。

発病した畑で翌年もキャベツを作れますか?

常発地ではアブラナ科の連作を避けるのが基本です。耕種的防除ではユリ科やイネ科などとの4年程度の輪作が示されていますが、病原菌は土壌中で長く生き残るため、抵抗性品種や圃場衛生も組み合わせてください。

薬剤を葉に散布すれば治りますか?

萎黄病は土壌から侵入して導管内で増える病気です。家庭菜園では発病株を治す葉面散布より、抵抗性品種、連作回避、汚染土の移動防止、必要に応じた発生前の土壌対策が中心です。農薬を使う場合は最新登録を確認してください。

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