ホウレンソウ立枯病の対策|幼苗の地際腐敗・くびれ・倒伏を解説

ホウレンソウの幼苗が地際から倒れ欠株が出た立枯病の症状 病気

ホウレンソウをまいたあと、芽が出ない場所ができたり、発芽したばかりの幼苗が地際から倒れて枯れたりするときは、立枯病を疑います。発芽後間もない苗では、根から胚軸の地際部にかけて水がしみたように褐変・腐敗し、病変部が細くくびれて倒伏することがあります。

ホウレンソウ立枯病は、ピシウム属菌やリゾクトニア菌などによって起こる土壌病害です。特に幼苗期に出やすく、発芽前に枯死すると「発芽しなかった」ように見えるため、単なる発芽不良と区別することも大切です。

ホウレンソウ立枯病の基本情報・早見表

項目確認内容
主な原因Pythium属菌、Rhizoctonia solaniなどの土壌病原菌
発生しやすい時期発芽前後〜子葉・本葉1〜2枚程度の幼苗期
重要な症状地際〜根が水浸状に褐変・腐敗し、くびれて倒れる
地上部しおれ、倒伏、枯死、欠株
発生条件多湿・排水不良。Pythiumによるものは高温多湿で被害が増えやすい
見分けの軸幼苗+地際+水浸状+くびれ+倒伏
対策排水改善、過湿回避、連作回避、発病苗と残さの除去

ホウレンソウ立枯病の見分け方・特徴

ホウレンソウ立枯病の幼苗、地際の水浸状病変、褐変・くびれ、倒伏を示した図解

立枯病を見分けるときは、「幼苗に出やすい」「地際が水浸状になる」「褐変してくびれる」「倒れて枯れる」の4点を確認します。

  • 幼苗:発芽直後〜本葉が少ない時期に症状が出やすい
  • 地際:根から胚軸の地際部が水浸状になり、褐色へ変わる
  • くびれ:病変部が細くなり、苗を支えられなくなることがある
  • 倒伏:地際から倒れ、そのまま枯死して欠株になる

発芽前に感染して枯死した場合は、地上へ芽が出ないため「種が発芽しなかった」と見えることもあります。周囲の苗にも同じ症状が出ていないか確認してください。

症状が出やすい場所

ホウレンソウ立枯病の症状が出やすい幼苗全体、地際、胚軸、根を示した図解
  • 幼苗全体:しおれ、倒伏、枯死が見られる
  • 地際:最重要確認部位。水浸状〜褐変し、くびれることがある
  • 胚軸:地際部を中心に褐変・腐敗する
  • 根:水浸状に腐敗し、健全な白い根が減る

葉の斑点やカビを見る病気ではなく、診断の中心は苗の地際と根です。倒れた苗をそっと抜き、茎が切断されたのではなく、地際部が病的に変色・腐敗して細くなっていないか確認します。

立枯病と根腐病の違い

ホウレンソウ立枯病の地際のくびれと根腐病の主根上部の水浸状腐敗を比較した図解

ホウレンソウ根腐病も若い株に水浸状の腐敗を起こすため、立枯病とよく似ています。家庭菜園では、株の時期と病変の中心位置を見て絞り込みます。

確認点立枯病根腐病
株の時期発芽前後〜ごく若い幼苗で目立つ発芽後10日前後以降の幼植物で目立つ
病変の中心地際部と根が水浸状に腐敗する主根上部〜胚軸が水浸状になり、後に褐変・腐敗する
倒れ方地際が弱って倒れる・立ち消える根腐れが進み、黄化・しおれ・倒伏へ進む
重要な見分け幼苗+地際の病変主根上部の水浸状腐敗

主根上部から病変が始まる場合はホウレンソウ根腐病も確認してください。症状が重なることがあるため、画像だけで病原菌を断定しすぎないことも重要です。

株腐病ともよく似る

ホウレンソウ株腐病も出芽前後の枯死や、地際部の褐変・くびれを起こすため、立枯病と症状が非常によく似ます。タキイ種苗では、立枯病は多湿条件で発生しやすく、株腐病はやや乾燥条件で発生する傾向が示されています。ただし、家庭菜園で病徴だけから完全に区別するのは難しいため、発病苗は早めに除去し、排水・過湿対策を優先します。

見つけたら最初に確認すること

ホウレンソウ立枯病を見つけたときに確認する苗の時期、地際の色、くびれ、周辺の苗を示した図解
  • 苗の時期:発芽直後〜本葉が少ない幼苗か
  • 地際の色:水浸状〜褐色に変色していないか
  • くびれ:地際部が細く弱っていないか
  • 周辺の苗:同じ列で立ち消えや欠株が増えていないか

ネキリムシ類による被害でも苗が地際から倒れますが、害虫被害では茎がかじられたり切られたりします。立枯病では、地際部が水浸状〜褐色に腐敗して弱くなる点を確認します。

発生しやすい時期・条件

立枯病は、発芽前後から子葉期、本葉1〜2枚程度までの幼苗期に特に注意が必要です。ピシウム属菌による立枯病は高温・多湿で被害が多く、リゾクトニア菌によるものは春や秋のやや涼しい時期にも発生します。両者を病徴だけで区別するのは困難です。

北海道・札幌市近郊の調査では、立枯れ症状株からPythium属菌が特異的に多く分離され、Pythium sp.とP. ultimumが主要な原因として確認されました。Rhizoctonia solaniも一部で病原性が確認されています。寒冷地でも、幼苗期の土壌水分管理は重要です。

家庭菜園でできる立枯病対策

発芽後は過湿にしない

発芽がそろうまでは乾燥を避けますが、発芽後も土を常にベチャベチャにすると立枯病の発生を助けます。タキイの栽培マニュアルでも、発芽後は水を控えめにすることが示されています。

まき溝と覆土を平らにする

まき溝や覆土に凹凸があると低い場所へ水がたまり、立枯れを起こしやすくなります。まき溝を平らに作り、覆土の厚さをそろえ、播種後は軽く鎮圧してから水やりします。

排水を改善する

雨の後に長く水が残る畝では、高畝にする、排水路を確保するなどして水はけを改善します。多湿な場所ほど立枯病が出やすいため、特に露地栽培では雨後の状態を確認します。

連作を避ける

立枯病は土壌病害なので、発病が続く場所ではホウレンソウの連作を避けます。発病株や根を畝へ残さず、発病畝の土を道具や長靴で別の畝へ持ち込まないようにします。

発病苗は早めに取り除く

地際が褐変して倒れた苗は回復が難しいため、周囲の土を大きく散らさないように抜き取り、地域のルールに従って処分します。周囲の苗の地際も確認し、水やりを見直します。

農薬を検討する場合

2026年8月31日時点で、農林水産省の農薬登録情報提供システムには、ほうれんそうの立枯病やピシウム菌・リゾクトニア菌による苗立枯病に登録のある薬剤が確認できます。ただし、農薬の登録内容は変更されるため、記事内では特定の商品名や使用条件を固定しません。

使用する場合は、必ず「ほうれんそう」と「立枯病/苗立枯病」の最新登録を確認し、使用時期、回数、希釈倍数、処理量、処理方法を製品ラベルどおりに守ってください。家庭菜園では、まず排水改善、過湿回避、健全な播種床づくりを優先します。

立枯病が出た苗は食べられる?

立枯病は主に発芽直後〜幼苗で問題になるため、通常は収穫する大きさになる前に枯死します。地際や根が腐敗した苗は食用にせず、発病株を早めに取り除いて周囲への拡大を防ぐことを優先します。

予防と早期発見のポイント

  • 発芽前後〜本葉1〜2枚の幼苗を重点的に見る
  • 欠株が増えたら発芽不良だけでなく立枯病も疑う
  • 地際の水浸状・褐変・くびれを確認する
  • 発芽後は水やりを控えめにする
  • まき溝・覆土を平らにして水だまりを作らない
  • 排水の悪い畝は高畝などで改善する
  • 発病苗は早めに除去する
  • 連作と発病土の持ち込みを避ける

主根上部から水浸状の腐敗が進む場合はホウレンソウ根腐病、下葉から黄化し片側性の萎れや維管束褐変が見られる場合はホウレンソウ萎凋病も確認してください。栽培全体の管理はホウレンソウの育て方も参考にしてください。

よくある質問

芽が出なかった場所も立枯病の可能性がありますか?

あります。出芽前に感染して枯死すると、地上からは単なる発芽不良のように見えます。隣の苗が地際から腐って倒れている場合や、同じ場所だけ欠株が続く場合は立枯病も確認します。

根腐病との一番分かりやすい違いは?

立枯病は発芽直後のごく若い苗で、地際部と根の水浸状腐敗・倒伏が中心です。根腐病は発芽後10日前後以降の幼植物で、主根上部〜胚軸の水浸状腐敗が重要な診断点になります。

水やりが多いと発生しやすいですか?

特にPythiumによる立枯病は多湿条件で被害が多くなります。発芽までは湿潤に保ちますが、発芽後は過湿を避け、畝に水がたまらないようにします。

ネキリムシで倒れた苗との違いは?

ネキリムシ類では茎が食い切られたり、かじられた跡が見られます。立枯病では地際部が水浸状〜褐色に腐敗し、細く弱って倒れる点を確認します。

一度発生した畝でまたホウレンソウを作れますか?

発病が続く畝では連作を避けるのが基本です。発病株と根を残さず、排水を改善し、発病畝の土を道具などで別の場所へ移さないようにします。

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