ホウレンソウ萎凋病の対策|下葉の黄化・片側の萎れ・維管束褐変を解説

ホウレンソウの下葉が黄化し株の片側に萎れが強く出た萎凋病の症状 病気

ホウレンソウの下葉から黄化・萎れが始まり、株の片側に症状が強く出ているときは、萎凋病を疑います。地上部だけでは水切れや根傷みと迷いやすい病気ですが、根やクラウン、葉柄の内部にある維管束が褐色に変わっているかを確認すると、見分けやすくなります。

萎凋病はフザリウム菌による土壌病害で、病原菌は土の中で長期間生存します。高温期に発生しやすく、北海道の栽培現場でも7〜9月、特に7〜8月の高温期に発生が目立った年があります。寒冷地でも夏の高温期は注意が必要です。

ホウレンソウ萎凋病の基本情報・早見表

項目確認内容
原因糸状菌(かび)Fusarium oxysporum f. sp. spinaciae
主な症状下葉から黄化・萎凋し、進行すると落葉・枯死する
特徴症状が株の片側に強く出ることがある
地下部主根・側根の先端や側根基部が黒褐変する
重要な診断点根・クラウン・葉柄の維管束褐変
発生しやすい条件高温期。発病適温は27〜28℃程度とされる
伝染主に土壌伝染。種子伝染もある
対策の基本健全種子、連作回避、発病株の除去、土壌病害を持ち込まない管理

ホウレンソウ萎凋病の見分け方・特徴

ホウレンソウ萎凋病の下葉黄化、片側性、根の黒褐変、維管束褐変を示した図解

萎凋病を見分けるときは、葉の黄化だけで判断せず、「下葉から始まる」「片側に強く出る」「根が黒褐変する」「維管束が褐変する」の4点をセットで確認します。

  • 下葉から黄化:外側の古い葉から黄色くなり、しおれていく
  • 片側に強く出る:左右すべてが均一ではなく、片側の葉に強い症状が出ることがある
  • 根が黒褐変:主根・側根の先端や側根基部に黒褐色の変色が出る
  • 維管束が褐変:根・クラウン・葉柄を切ると内部の維管束が褐色に変わる

症状が進むと生育が著しく悪くなり、黄化・萎凋が上位葉へ広がって最終的には枯死します。単なる肥料不足のように株全体が均一に黄色くなる症状とは異なります。

症状が出やすい場所

ホウレンソウ萎凋病の症状が出る下葉、主根・側根、クラウン、葉柄を示した図解

萎凋病は地上部の葉だけを見るより、根・クラウン・葉柄まで確認することが重要です。

  • 下葉:黄化してしおれ、進行すると落葉する
  • 主根・側根:先端部や側根基部から黒褐変する
  • クラウン:断面の維管束が褐色〜黒褐色に変わる
  • 葉柄:内部の維管束に褐変が確認できることがある

維管束褐変は外側の根が単に土で汚れて黒く見える状態とは違います。株を抜いて根を軽く洗い、根やクラウンを切った断面の内部まで確認します。

萎凋病と根腐病の違い

ホウレンソウ萎凋病の片側黄化と維管束褐変、根腐病の主根上部水浸状腐敗を比較した図解

ホウレンソウの根腐病も黄化・萎れ・根の異常を起こしますが、症状が出る株齢と根の傷み方が違います。

確認点萎凋病根腐病
地上部下葉から黄化・萎凋し、片側に強く出ることがある若苗が黄化し、倒伏・枯死へ進む
主根・側根の一部が黒褐変主根上部〜胚軸が水浸状になり、その後褐変・腐敗
断面根・クラウン・葉柄の維管束褐変が重要維管束褐変は主な診断点ではない
発生条件高温期に発生しやすい多湿条件で発生しやすい

「片側性の黄化・萎れ+維管束褐変」なら萎凋病を、「若苗+主根上部〜胚軸の水浸状腐敗」なら根腐病を優先して疑います。

見つけたら最初に確認すること

ホウレンソウ萎凋病を見つけたときに確認する片側の黄化、株元から根、根断面の褐変を示した図解
  • 片側だけ強いか:左右の葉で黄化・萎れの強さに差があるか
  • 株元〜根:主根・側根に黒褐色の変色がないか
  • 断面の褐変:根やクラウンを切った内部の維管束が褐色になっていないか
  • 水切れとの違い:水やり後も回復せず、黄化や内部褐変が進んでいないか

暑い日の昼だけしおれ、夕方や水やり後に回復する場合は、まず水分不足や高温ストレスも確認します。萎凋病では黄化が進み、根や維管束にも異常が現れます。

ホウレンソウ萎凋病が発生しやすい時期・条件

病原菌の発病適温は27〜28℃程度とされ、高温期に発生しやすい病気です。北海道の農業技術情報でも、4〜6葉期以降に下葉から黄化・萎凋し、高温条件で発病しやすいことが示されています。また、北海道では7〜9月、特に7〜8月の高温期に発生が多く確認された年があります。

寒冷地だから発生しない病気ではありません。夏のハウスや雨よけ栽培では土温が上がりやすいため、高温期ほど株の黄化・萎れをこまめに確認します。

家庭菜園でできる萎凋病対策

発病株は根ごと早めに取り除く

発病した株を畑に残すと、病原菌を含む根や残さが感染源になります。疑わしい株は根ごと抜き取り、地域のルールに従って処分します。抜いた株をそのまま畝へすき込まないようにします。

同じ場所での連作を避ける

病原菌は厚膜胞子をつくり、土壌中で数年〜十数年間生存することがあります。発病した畝でホウレンソウを繰り返し栽培すると病原菌が蓄積しやすいため、連作を避けます。

健全な種子を使う

萎凋病は土壌伝染が中心ですが、種子伝染もあります。信頼できる種子を使用し、消毒済み種子などが利用できる場合は選択肢になります。

土を持ち込まない・広げない

土壌病害では、発病畝の土が長靴や移植ごて、管理機などに付着して別の場所へ移ることにも注意します。作業後に土を落とし、健全な畝へ病原菌を運ばない管理を意識します。

高温期の株を弱らせない

北海道の普及資料では、高温乾燥条件で発病しやすいとして、排水対策に加えて高温期の適切なかん水も示されています。極端な乾燥で株を弱らせないよう、ホウレンソウの育て方に沿って水分を管理します。

農薬・土壌消毒を検討する場合

ホウレンソウ萎凋病には、現在も登録のある土壌消毒剤などがありますが、登録内容は変更されます。また、土壌くん蒸剤などは取り扱いに十分な注意が必要で、家庭菜園で気軽に使う資材ではありません。

使用を検討する場合は、農林水産省の「農薬登録情報提供システム」で、ホウレンソウ・萎凋病への最新登録を確認し、対象作物、使用時期、使用回数、使用量、処理方法など製品ラベルの条件を厳守してください。不明な場合は地域のJAや農業改良普及センターなどへ相談します。

萎凋病が出たホウレンソウは食べられる?

黄化・萎凋が進んだ株は品質が落ちているため、家庭菜園では食用利用よりも発病株を早めに除去し、畑に病原菌を残さないことを優先します。腐敗、ぬめり、異臭など別の傷みがある株は利用しません。

農薬を使用した場合は、製品ラベルに定められた使用条件を必ず守ります。

予防と早期発見のポイント

  • 下葉から黄化・萎れが始まっていないか確認する
  • 症状が株の片側に強く出ていないか見る
  • 根の先端や側根基部に黒褐変がないか確認する
  • 根・クラウンの断面に維管束褐変がないか見る
  • 夏の高温期は特に注意する
  • 発病株は根ごと早めに除去する
  • 同じ場所での連作を避ける
  • 健全な種子を使う
  • 発病畝の土を別の畝へ広げない

葉に淡黄色の斑点や黒い小粒が出ている場合は、萎凋病ではなくホウレンソウ炭疽病など、葉に病斑をつくる病気も確認してください。

よくある質問

下葉が黄色いだけで萎凋病ですか?

下葉の黄化だけでは肥料不足や根傷み、水分ストレスなどとも区別できません。片側に強い黄化・萎れがあるか、根の黒褐変や維管束褐変があるかまで確認します。

水切れとの違いは?

水切れでは株全体がしおれ、水やりや気温低下で回復することがあります。萎凋病では下葉の黄化が進み、根やクラウンの内部に維管束褐変が確認できます。

根腐病との一番分かりやすい違いは?

萎凋病は維管束褐変が重要な診断点です。根腐病は若い苗の主根上部〜胚軸が水浸状になり、その後褐変・腐敗して倒伏する症状が中心です。

一度出た畝でまたホウレンソウを作れますか?

病原菌は土壌中で長期間生存するため、発病した畝での連作は避けるのが基本です。多発した場合は、栽培場所の変更や専門的な土壌消毒を含め、地域の指導機関へ相談するのが安全です。

寒冷地でも夏は注意が必要ですか?

必要です。北海道でも7〜9月に萎凋病が確認され、特に7〜8月の高温期に多く見られた年があります。夏のハウス・雨よけ栽培では特に注意します。

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