アスパラガスの育て方|寒冷地の植え付け・株養成・収穫のポイント

寒冷地の家庭菜園で収穫期を迎えたグリーンアスパラガス 葉菜類

アスパラガスは、一度株を充実させると同じ場所で長く収穫できる多年生野菜です。冷涼地では3年目から本格収穫を始め、その後10〜15年ほど収穫できる品種例もあります。そのぶん、植え付け前の土づくりと場所選びがとても重要です。

寒冷地の家庭菜園では、種から育苗する方法、苗を植える方法、根株を植える方法の3通りがあります。種から育てる場合は保温しながら長期間育苗する必要があり、初収穫まで2〜3年かかるため、早く始めたい初心者は苗や根株を使うと取り組みやすくなります。苗・根株は4〜5月ごろに植え付け、1〜2年目は若茎を採らずに茎葉を伸ばして株を養成します。3年目から春の短い期間だけ収穫し、収穫を打ち切った後は夏の茎葉をしっかり育て、秋に完全黄化してから刈り取ります。

アスパラガス栽培の基本情報・早見表

項目寒冷地での目安
カテゴリー葉菜類
栽培の始め方種・苗・根株の3通り。早く収穫したい場合は苗・根株が取り組みやすい
種まき保温育苗では1月下旬〜2月下旬ごろを一例
種まき容器9cmポットまたは72穴プラグトレーへ1粒ずつを一例
発芽までの温度25〜30℃程度を確保
種からの育苗期間約1年。初収穫まで2〜3年程度
苗・根株の植え付け4〜5月ごろを一例。霜の心配が小さくなってから
土づくり植え付け前に40〜60cm程度を目安に深く耕し、排水と有機物を確保
畝幅150〜180cm前後をこの記事の画像例
株間35〜40cm前後をこの記事の基本例
植え溝15〜20cm程度
根株の覆土りん芽の上へ5〜10cm程度をこの記事の画像例
1年目収穫せず茎葉を育てて株を養成
2年目寒冷地では株養成を優先し、本格収穫しない
本格収穫3年目から
収穫サイズ穂先が締まった25cm前後を一例
3年目の収穫期間2〜3週間程度を一例
4年目以降株の勢いが十分なら4〜7週間程度を一例
夏の管理収穫終了後は茎葉を伸ばし、支柱・ひもで倒伏を防ぐ
秋の管理茎葉が完全黄化してから地際で刈り取る

寒冷地のアスパラガス栽培カレンダー

工程寒冷地の月の目安確認ポイント
種まき・保温育苗1月下旬〜2月下旬ごろ9cmポットまたは72穴トレーへ1粒ずつ。発芽まで25〜30℃を確保
種からの苗養成春〜秋約1年かけて苗を育てる。急いで収穫せず株を充実させる
土づくり前年秋〜4月ごろ長期栽培場所を決め、深耕・排水・堆肥を整える
根株・苗の植え付け4〜5月ごろ霜や土の凍結が落ち着いてから植える
株養成5〜10月ごろ1〜2年目は若茎を採らず、茎葉を十分に伸ばす
夏の倒伏対策6〜9月ごろ支柱とひもで囲い、茎葉を倒さない
黄化・刈り取り10〜11月ごろ以降緑色のうちは切らず、完全黄化後に地際で刈る
本格収穫3年目以降の春25cm前後・穂先が締まった若茎を収穫
収穫打ち切り3年目は2〜3週間、4年目以降は4〜7週間を一例採り続けず、茎葉を立てて株を養成する

月はあくまで目安です。北海道・東北・本州の高標高地では融雪、土の凍結、遅霜の時期が違います。植え付けは暦だけで決めず、畑を耕せる状態になり、強い凍結や霜の心配が小さくなってから行ってください。

長期栽培向けに土づくりをする

アスパラガスは根が深く広く伸びる多年生野菜です。植え付け後に深い部分の土を直すのは難しいため、最初の土づくりがその後の生育を大きく左右します。排水の悪い場所を避け、植え付け前に40〜60cm程度を目安に深く耕します。

アスパラガスを長期栽培するため深さ40〜60cmに深耕し排水と堆肥を整える土づくり

タキイ種苗では根が1〜2mの深さまで伸びるとして、深い耕土と良好な排水、有機物の投入を勧めています。畝幅は栽培方法によって異なり、種苗会社の例では1.2〜1.5m程度があります。この記事では、採用画像に合わせて作業スペースを確保しやすい150〜180cm前後を家庭菜園の一例とします。

同じ場所で長く育てるため、完熟堆肥を土全体へ混ぜ、酸性に偏った土は植え付け前に矯正します。肥料や石灰の量は元の土質で変わるため、一律の量を固定せず、土壌診断や使用資材の表示を優先してください。

種から育てる場合は保温して長く育苗する

アスパラガスは種からも育てられます。タキイ種苗の栽培例では、ハウスなど保温できる環境で1月下旬〜2月下旬に、9cmポットまたは72穴プラグトレーへ1粒ずつ種をまき、発芽するまで25〜30℃で管理します。

種皮が厚く硬いため、タキイ種苗では種の表面へ軽く傷をつけ、吸水しやすくしてからまく方法を紹介しています。深く傷つけて内部を傷めないようにし、発芽後は日当たりを確保しながら徒長させないように育てます。

種から苗を作る場合は、育苗に約1年、初収穫まで2〜3年程度かかります。サカタのタネでは、ポットへ2〜3粒を深さ5mmにまき、草丈5cm程度で1本立ちにする方法も紹介されています。種まき方法は品種・販売元によって違うため、購入した種袋の表示を優先してください。

寒冷地の家庭菜園で「できるだけ早く収穫したい」「保温育苗が難しい」という場合は、市販苗や根株から始める方が簡単です。種から育てる場合は、収穫を急がず株づくりそのものを楽しむ栽培と考えるとよいでしょう。

根株・苗は寒冷地の春に植え付ける

寒冷地では、根株または充実した苗を春に植え付ける方法が取り組みやすいです。サカタのタネでは、苗は4〜5月、寒地の根株は4月に植える栽培例が紹介されています。畑の凍結が解け、強い霜の心配が小さくなってから植え付けます。

アスパラガスの根株を株間35〜40cmで根を広げて植え付ける方法と苗の植え付け

根株を植える場合は、15〜20cm程度の植え溝を作り、中心部を置いて太い根を左右・放射状に広げます。この記事の画像では、りん芽の上へ5〜10cm程度土がかぶる深さを基本例にしています。タキイ種苗でも15〜20cm程度の植え溝を作り、根株へ10〜12cm程度土をかぶせる例が紹介されています。

株間は35〜40cm前後、1条植えをこの記事の基本例とします。種苗会社の栽培例には株間30cmと40cmの両方があるため、購入した根株・苗の品種表示がある場合はそちらを優先してください。ポット苗は根鉢を崩しすぎず、植え付け後に十分水を与えて活着させます。

1年目は若茎を収穫せず株を養成する

植え付けた1年目は、春に若茎が出ても収穫しません。そのまま伸ばして細かな葉状枝を茂らせ、光合成で作った養分を地下の根株へ蓄えます。

アスパラガスの1年目は若茎を収穫せず茎葉を伸ばして株を養成する方法

アスパラガスは『芽が出たから収穫できる』野菜ではありません。若いうちに採り続けると、地上部を育てる機会が減り、根株が太れません。寒冷地では1〜2年目を株養成期間と考え、本格収穫は3年目からにすると株を安定させやすくなります。

水やりと追肥は株養成を優先する

定植直後は根がまだ十分に広がっていないため、極端に乾燥させないようにします。活着後の露地栽培では降雨を基本にしつつ、晴天が続いて土が乾く場合は株元へ水を与えます。特に夏に茎葉を養成している時期の強い乾燥は、翌年へ蓄える養分を減らす原因になります。

追肥は一度に大量に与えるのではなく、株の生育を見ながら行います。サカタのタネでは1か月に1回の追肥・土寄せを栽培例としており、成熟株では萌芽前と春芽収穫終了後に分けて施肥する管理例もあります。家庭菜園では、葉色や茎数、土の肥沃度を見て調整してください。

夏の茎葉を育てて倒伏を防ぐ

収穫を終えた後は若茎を伸ばし、夏の緑の茎葉をしっかり育てます。この茎葉が光合成を行い、翌春の若茎を出すための養分を根株へ蓄えます。緑色の茎葉は『不要な枝』ではなく、翌年の収穫を作る大切な部分です。

アスパラガスの夏の茎葉を支柱とひもで囲って倒伏を防ぐ方法

茎葉は高く茂り、風で倒れやすくなります。畝の両側へ丈夫な支柱を立て、ひもやネットで囲うように支えて倒伏を防ぎます。サカタのタネでは、成熟株の誘引に1.5m以上の支柱を使い、複数段で支える管理例も紹介されています。風の強い寒冷地では早めに支柱を設置してください。

秋は完全に黄化してから刈り取る

秋に気温が下がると、緑色だった茎葉が少しずつ黄色くなります。この時期は、地上部の養分が地下の貯蔵根へ移る大切な期間です。まだ緑色の茎葉を早く刈り取らないようにします。

アスパラガスの茎葉が秋に完全黄化してから地際で刈り取り残渣を片付ける方法

長野県の栽培情報でも、気温低下後は光合成で作られた養分が地下の貯蔵根へ転流する重要な時期とされています。茎葉が十分に黄化・枯れ上がってから地際で刈り取ります。病害の越冬源を減らすため、刈り取った残渣は畝の上へ放置せず、畑の外へ片付けます。

穂先が締まった25cm前後で収穫する

本格収穫は寒冷地では3年目からを基本にします。春に出てきた若茎が25cm前後になり、穂先がまだ締まっているうちに収穫します。伸ばしすぎて穂先が開くと、繊維が増えて品質が落ちやすくなります。

穂先が締まった25cm前後のアスパラガスを地際で収穫する適期

若茎は地際付近をナイフやハサミで切ります。気温が上がると伸びが速くなるため、収穫期はこまめに確認してください。品種や出荷規格では収穫長が異なることがあるので、家庭菜園では25cm前後を一例とし、購入した品種の説明も確認します。

若株は採りすぎず、年数に合わせて収穫を打ち切る

アスパラガスは、若い株ほど収穫期間を短くすることが重要です。寒冷地では1年目は収穫せず、2年目も株養成を優先します。3年目から本格収穫を始めても、最初から長期間採り続けないようにします。

寒冷地のアスパラガスを1〜2年目は養成し3年目から短期間収穫する年次管理

タキイ種苗の家庭菜園情報では、3年目は収穫を2〜3週間程度にとどめ、4年目以降は株が十分に育っていれば4〜7週間程度まで延ばせるとしています。収穫を打ち切ったら、その後の若茎は伸ばして茎葉にし、翌年に向けて根株へ養分を蓄えます。

収穫期間中でも、細い茎ばかりになった、穂先が早く開く、曲がりが増えたなど株の勢いが落ちてきた場合は、予定日数より早く打ち切る方が安全です。『期間いっぱいまで採る』ことより、株の状態を優先してください。

アスパラガスの保存方法

収穫したアスパラガスは乾燥すると硬くなりやすいため、切り口を乾かさないようにして冷蔵します。湿らせたキッチンペーパーなどで根元を包み、ポリ袋へ入れて、できれば立てた状態で野菜室へ入れます。

収穫後は鮮度が落ちやすいため、なるべく早めに使うのが基本です。長めに保存したい場合は、かために下ゆでして水気を切り、食べやすい長さに分けて冷凍できます。

よくある失敗と見直しポイント

失敗見直すポイント
植え付け後に株が弱る排水不良、浅い耕土、根の乾燥、根株の傷みを確認する
1〜2年目からたくさん収穫してしまう若株は株養成を優先し、寒冷地では本格収穫を3年目からにする
細いアスパラばかり出る前年の茎葉不足、収穫しすぎ、肥料切れ、乾燥、株齢を確認する
夏に茎葉が倒れる支柱とひもの設置が遅れていないか、風当たりを確認する
秋に緑色の茎を刈ってしまう完全黄化まで待ち、根株へ養分を戻してから刈る
翌年の収穫量が落ちる前年の採りすぎ、夏の茎葉不足、病害、乾燥を見直す
穂先が開いたものが増える収穫間隔が空きすぎていないか確認し、25cm前後を目安にこまめに採る

主な病気・害虫

病気・害虫確認ポイント
茎枯病茎に褐色〜暗色の病斑が出て、進むと茎が枯れる。長野県でも重要病害として対策が行われている
斑点病・褐斑病葉状枝や茎に斑点が出て早く黄化・落葉することがある。風通しと残渣管理を見直す
アブラムシ類新芽ややわらかい部分へ付いて吸汁することがある
ヨトウムシ類若い茎葉を食害することがある。葉だけでなく株元も確認する
アスパラガスハムシ類成虫・幼虫が茎葉を食害することがある。見つけたら発生範囲を確認する

アスパラガスは同じ場所で何年も育てるため、一度病害が定着すると翌年以降にも影響しやすくなります。夏の茎葉を混み合わせすぎず、完全黄化後の残渣を畑から片付けることが基本です。農薬を使用する場合は、使用時点でアスパラガスと対象病害虫に登録がある製品を選び、ラベルの使用方法を守ってください。

関連野菜

ニンニクの育て方タマネギの育て方も、寒冷地では植え付け時期と低温条件を地域に合わせることが重要です。アスパラガスは多年生で栽培期間が特に長いため、ほかの野菜以上に最初の場所選びと土づくりを重視してください。

よくある質問

寒冷地ではアスパラガスをいつ種まき・植え付けしますか?

種から保温育苗する場合は1月下旬〜2月下旬ごろを一例にし、発芽まで25〜30℃を確保します。苗・根株の植え付けは4〜5月ごろが目安です。畑の凍結が解け、強い霜の心配が小さくなってから植えてください。

アスパラガスの株間はどれくらいですか?

この記事では株間35〜40cm前後を基本例にしています。種苗会社では30cmや40cmの栽培例があるため、品種ラベルの指定があればそちらを優先してください。

根株はどのくらいの深さに植えますか?

15〜20cm程度の植え溝へ根を広げ、この記事ではりん芽の上へ5〜10cm程度土をかぶせる方法を基本例にしています。タキイ種苗では根株へ10〜12cm程度覆土する例があります。

1年目に出たアスパラガスは食べてもよいですか?

寒冷地の家庭菜園では1年目は収穫せず、すべて伸ばして株を養成するのがおすすめです。若茎を茎葉にして光合成させ、根株へ養分を蓄えます。

寒冷地では何年目から収穫しますか?

本格収穫は3年目からを基本にします。冷涼地向け品種でも3年目から本格収穫する栽培例があります。2年目に少量収穫できる場合もありますが、株養成を優先すると安全です。

アスパラガスは何cmで収穫しますか?

穂先が締まった25cm前後を一つの目安にします。気温が上がると伸びが速いため、収穫期はこまめに確認してください。

3年目はどのくらいの期間収穫できますか?

家庭菜園では2〜3週間程度を一例にします。若い株を長期間採り続けると翌年の株が弱るため、その後は若茎を伸ばして株を養成します。

4年目以降はどのくらい収穫できますか?

株の勢いが十分なら4〜7週間程度を一例にできます。ただし、細い茎が増えるなど株が弱っている場合は早めに収穫を打ち切ってください。

夏の茎葉は刈ってもよいですか?

刈りません。夏の緑色の茎葉は翌年の収穫に必要な養分を作るための大切な部分です。支柱やひもで倒伏を防ぎながら育てます。

秋はいつ茎葉を刈り取りますか?

緑色のうちは切らず、十分に黄化・枯れ上がってから地際で刈り取ります。刈り取った残渣は病害の越冬源を減らすため畑の外へ片付けます。

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