サトイモは高温多湿を好み、寒さに弱い根菜です。寒冷地では早植えを避け、晩霜の心配が小さくなり、地温15℃以上を確保できるようになってから種イモを植え付けることが重要です。生育適温は25〜30℃前後と高いため、春の低温期に無理をすると芽が出るまでに時間がかかり、腐敗や生育遅れにつながります。
植え付け後は、1回目・2回目の追肥と土寄せ、夏の乾燥対策がイモの肥大を左右します。寒冷地では生育期間が限られるので、必要に応じて種イモを先に芽出ししてから植える方法も有効です。秋は収穫を引っ張りすぎず、強い霜や凍結の前に掘り上げ、収穫後は低温障害を避けて保存します。
サトイモ栽培の基本情報・早見表
| 項目 | 寒冷地での目安 |
|---|---|
| カテゴリー | 根菜類 |
| 栽培開始方法 | 種イモを植え付ける。寒冷地では芽出ししてから植える方法も有効 |
| 植え付け時期 | 5月中旬〜6月上旬ごろを一例。晩霜後・地温15℃以上を優先 |
| 生育適温 | 25〜30℃前後 |
| 種イモ | 頂芽が健全で、腐敗・大きな傷・強い乾燥がないもの |
| 芽出し | 植え付け前に20〜30℃程度の暖かい場所で芽を動かす方法がある |
| 植え付け深さ | 6〜10cm程度を基本例 |
| 植え付け方向 | 頂芽を上向きにする |
| 畝・株間 | 採用画像では畝幅1.5m・2条植え・株間70cm程度を家庭菜園の一例 |
| 1回目の追肥・土寄せ | 本葉2〜3枚ごろ。軽く土寄せ |
| 2回目の追肥・土寄せ | 本葉5〜6枚ごろ。1回目よりしっかり土寄せ |
| 夏の管理 | 乾燥を避け、敷きわら・マルチと十分な水やり |
| 収穫 | 9月下旬〜10月ごろを一例。寒冷地では強い霜・凍結前を優先 |
| 連作 | 同じ場所では3〜4年程度あける |
| 保存 | 8〜10℃程度を目安。5℃以下に長く置かない |
寒冷地のサトイモ栽培カレンダー
| 工程 | 寒冷地の月の目安 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 種イモの準備・芽出し | 4月ごろ | 健康な種イモを選び、必要なら暖かい場所で芽出しする |
| 植え付け | 5月中旬〜6月上旬ごろ | 晩霜後・地温15℃以上。頂芽を上にして植える |
| 1回目の追肥・土寄せ | 6月ごろ | 本葉2〜3枚を目安に追肥し、軽く土寄せ |
| 2回目の追肥・土寄せ | 7月ごろ | 本葉5〜6枚を目安に、しっかり土寄せ |
| 乾燥対策・水やり | 7〜8月ごろ | 敷きわら等で乾燥を防ぎ、乾くときは十分に水やり |
| イモの肥大 | 8〜9月ごろ | 乾燥を避け、葉を健全に保つ |
| 収穫 | 9月下旬〜10月ごろ | 葉の衰えと天候を見て、強い霜・凍結前に掘る |
| 保存 | 収穫後 | 土付きのまま乾かしすぎず、8〜10℃程度で保管 |
寒冷地では標高や地域で地温の上がり方が大きく違います。月だけで決めず、晩霜が終わったか、地温15℃以上を確保できているかを優先してください。北海道の家庭菜園例でも、マルチで地温を高め、収穫は10月中旬以降とする作型が示されています。
種イモをそのまま植える方法と、芽出しして植える方法がある
サトイモは種をまいて育てるのではなく、種イモを植え付けて栽培します。暖かくなってから健康な種イモをそのまま植える方法が基本ですが、寒冷地では生育期間を少しでも確保するため、植え付け前に芽出ししておく方法も使えます。
芽出しは、植え付けの数週間前から20〜30℃程度の暖かい環境で種イモを管理し、芽を動かしてから畑へ植える方法です。芽を極端に長く徒長させる必要はなく、芽が動き始めた健全な状態で植え付けます。どちらの方法でも作業は『種まき』ではないため、この記事のタグは植え付け月で整理します。
頂芽が健全で、腐敗していない種イモを選ぶ
よい種イモは、頂芽がしっかりしていて、表面に大きな腐敗や深い傷がなく、極端に乾燥してしなびていないものです。芽の部分を傷つけると初期生育が遅れやすいため、保管や植え付け時も丁寧に扱います。

表面が少し乾いている程度なら問題ありませんが、押すと柔らかい、異臭がする、広い範囲が黒く腐っている種イモは避けます。サトイモはジャガイモのように小さく切り分けて使うのではなく、家庭菜園では健全な種イモを1個ずつ植える方が扱いやすいです。
購入した種イモをすぐ植えられない場合は、新聞紙などで包み、直射日光を避けて10〜20℃前後で保管し、乾燥と低温の両方を避けます。
地温15℃以上を待ち、頂芽を上にして植え付ける
サトイモは低温に弱く、冷たい土へ早く植えると発芽まで長くかかり、種イモが傷みやすくなります。寒冷地では晩霜の心配が小さくなり、地温15℃以上になってから植え付けます。

頂芽を上向きにし、6〜10cm程度の深さを基本例にします。今回の採用画像では、家庭菜園の一例として畝幅1.5m・2条植え・株間70cm程度を示しています。サトイモは品種や畝の作り方で株間の例が異なるため、この数値を唯一の正解とはせず、購入した種イモの品種説明も確認してください。
寒冷地では黒マルチを利用すると地温を確保しやすくなります。植え付け直後の低温が心配な地域では、不織布などで一時的に保温する方法もあります。
本葉2〜3枚で1回目の追肥・土寄せをする
芽が出て本葉2〜3枚ほどになったら、1回目の追肥と土寄せを行います。肥料は株元や葉柄へ直接触れないよう少し離して施し、除草・中耕をしてから軽く土を寄せます。

最初の土寄せでは一度に大量の土を盛らず、株元を安定させる程度にします。生長点や若い葉柄の付け根まで深く埋めないよう注意してください。
サトイモは植え付け直後より、生育が進んで子イモが付き始める時期から肥料と水を多く必要とします。葉色や生育を確認しながら管理します。
本葉5〜6枚で2回目の土寄せをしっかり行う
本葉5〜6枚ほどまで育ったら、2回目の追肥と土寄せを行います。この時期の土寄せは、地下で子イモ・孫イモが肥大するための土の層を確保する大切な作業です。

株の周囲へ追肥し、1回目よりもしっかり土を寄せます。ただし葉柄の付け根まで過度に埋めるのではなく、株元を包むように土を盛ります。土寄せが不足すると、子イモが十分に太らなかったり、地表近くへ露出して品質が落ちたりしやすくなります。
土寄せ後は敷きわらなどを使うと、夏の乾燥防止にもつながります。
夏は乾燥させず、株元へ十分に水を与える
サトイモは大きな葉から水分を多く蒸散し、夏の乾燥に弱い野菜です。特に子イモ・孫イモが太る時期に土を乾かしすぎると、肥大が止まりやすくなります。

梅雨明け前後からは敷きわらやマルチで土の乾燥を防ぎ、晴天と高温が続くときは株元へ十分に水を与えます。葉だけを濡らして終わるのではなく、根が広がる畝全体へ水が届くようにします。
高温多湿を好む作物ですが、常に水没する状態を推奨するわけではありません。家庭菜園では『乾燥させないこと』を重視しつつ、極端な滞水で根やイモを傷めないよう畑の排水も確認してください。
寒冷地では強い霜・凍結の前に収穫する
サトイモは秋に気温が下がると生育が弱まり、霜に当たると葉が傷みます。一般地では霜が降りてから掘る例もありますが、寒冷地では強い霜や土の凍結まで待たずに収穫する方が安全です。

葉が黄変・衰え始め、イモが十分に育ったら、地上部を株元から少し残して切り、株の周囲へスコップを入れて土ごと持ち上げます。親イモの周囲に付いた子イモ・孫イモを傷つけないよう、株の近くへ刃を入れすぎないようにします。
寒冷地では9月下旬〜10月ごろを一例に、天気予報と初霜・凍結の時期を見ながら判断します。収穫を遅らせすぎてイモを低温へ長く当てるより、寒害前の掘り上げを優先します。
連作を避け、収穫後は低温障害に注意する
サトイモは連作障害が出やすいので、同じ場所で毎年作るのは避けます。家庭菜園では同じ場所を3〜4年程度あけることを基本にし、可能ならさらに長い輪作間隔を取ります。

収穫後のイモは低温にも弱く、保存は8〜10℃程度を目安にします。5℃以下に長く置くと低温障害や腐敗が起こりやすくなるため、寒冷地では冷え込む物置や屋外ではなく、凍らない屋内での保存が安全です。
土を完全に洗い落とさず、表面を軽く乾かしたあと、新聞紙で包むか通気性のある箱へ入れて保存します。傷が入ったイモは長期保存へ回さず、早めに食べます。
サトイモの保存方法
短期間なら土付きのまま新聞紙で包み、8〜10℃程度を保てる冷暗所で保存します。乾燥しすぎるとイモがしなび、低温すぎると腐敗しやすいため、寒冷地では室内の温度変化が少ない場所を選びます。
食用として長く保存したい場合は、皮をむいて下ゆでしてから冷凍する方法もあります。翌年の種イモに使う場合は特に低温と乾燥を避け、芽を傷めないように保存してください。
よくある失敗と見直しポイント
| 失敗 | 見直すポイント |
|---|---|
| 芽がなかなか出ない | 早植え、地温15℃未満、種イモの低温障害・腐敗を確認する |
| 植えた種イモが腐る | 低温時の過湿、傷んだ種イモ、深すぎる植え付けを見直す |
| 子イモが小さい | 1回目・2回目の土寄せ不足、肥料切れ、夏の乾燥を確認する |
| 葉が夏にしおれる | 畝の乾燥を確認し、敷きわらと十分な水やりを行う |
| 掘ったイモが少ない | 生育期間不足、土寄せ不足、乾燥、日照条件を見直す |
| 保存中に腐る | 5℃以下の低温、傷、過湿、洗浄後の長期保存を避ける |
主な病気・害虫
| 病気・害虫 | 確認ポイント |
|---|---|
| サトイモ疫病 | 葉に水浸状〜褐色の病斑が広がる。多雨期は病葉を早めに確認する |
| 乾腐病などの土壌病害 | 地下部が腐敗し、生育が悪くなる。健全な種イモと輪作を重視する |
| ハスモンヨトウ | 葉を集団で食害することがある。若齢幼虫のうちに葉裏を確認する |
| セスジスズメ | 大きな幼虫が葉を食害する。食害跡とふんを見つけたら株を確認する |
| アブラムシ類 | 新葉や葉裏へ寄生することがある。発生初期に確認する |
サトイモでは健全な種イモを使い、連作を避けることが病害対策の基本です。農薬を使用する場合は、使用時点でサトイモと対象病害虫に登録がある製品を選び、ラベルと最新の農薬登録情報に従ってください。
関連野菜
ショウガの育て方、サツマイモの育て方、ゴボウの育て方も根菜類の記事です。サトイモは特に、寒冷地での地温待ち、2段階の土寄せ、夏の乾燥防止、寒害前の収穫と低温を避けた保存が重要です。
よくある質問
寒冷地ではサトイモをいつ植え付けますか?
5月中旬〜6月上旬ごろを一例にし、月よりも晩霜の終了と地温15℃以上を優先します。低温の年は無理に早植えしないでください。
サトイモは種まきしますか?
普通の家庭菜園では種はまかず、種イモを植え付けます。そのため、この記事では種まきタグは付けません。
寒冷地では芽出しした方がよいですか?
必須ではありませんが、生育期間が短い寒冷地では有効です。植え付け前に20〜30℃程度の暖かい場所で芽を動かしておくと、畑でのスタートをそろえやすくなります。
よい種イモはどう選びますか?
頂芽が健全で、腐敗・大きな傷・強い乾燥がないものを選びます。柔らかく腐っているものや芽が傷んでいるものは避けてください。
どのくらいの深さに植えますか?
この記事では6〜10cm程度を基本例にしています。頂芽を上向きにし、寒冷地では地温15℃以上になってから植え付けます。
土寄せは何回しますか?
この記事では2回を基本にします。1回目は本葉2〜3枚ごろに軽く、2回目は本葉5〜6枚ごろにしっかり土を寄せます。
夏は毎日水やりが必要ですか?
回数を固定するより、畝が乾かないことを優先します。高温・乾燥が続くときは株元へ十分に水を与え、敷きわらなどで乾燥を防ぎます。
収穫は霜が降りてからでも大丈夫ですか?
一般地では軽い霜を目安にする例もありますが、寒冷地では強い霜や凍結まで待たず、寒害前に収穫する方が安全です。
サトイモは冷蔵庫で保存できますか?
丸ごとの長期保存には向きません。5℃以下に長く置くと低温障害や腐敗が起こりやすいため、8〜10℃程度の凍らない冷暗所が目安です。
サトイモのタグは何を設定しますか?
種イモの植え付けで始めるため、種まきタグは付けず、植え付け-5月、植え付け-6月を設定します。

