長ネギの葉にオレンジ色の小さな斑点がいくつも現れ、表面が少し盛り上がって粉っぽく見えるときは、ネギさび病を疑います。病斑が増えると葉全体に広がり、古い葉から黄白色になって枯れ込むことがあります。
ネギさび病は、Puccinia allii(プクキニア・アリイ)による糸状菌の病気です。春と秋の比較的涼しく雨の多い時期に発生しやすく、特に15〜20℃前後で多発しやすいとされています。多発すると防除が難しくなるため、オレンジ色の小斑点を見つけた段階で早めに対処することが重要です。
ネギさび病の基本情報・早見表
| 項目 | 内容 |
| 病名 | ネギさび病 |
| 病原 | Puccinia alliiによる糸状菌病 |
| 主な症状 | 黄〜橙色の小斑点、やや盛り上がる病斑、表皮が破れて出る橙黄色の粉状胞子、葉の黄白色化・枯死 |
| 発生しやすい時期 | 春〜秋。特に春・秋の冷涼で雨の多い時期 |
| 発生しやすい温度 | 15〜20℃前後 |
| 伝染 | 被害植物上で越冬した胞子が飛散して感染を繰り返す |
| 被害部位 | 主に葉。花茎にも発生する |
| 似た病気 | 白色疫病、べと病、黒斑病など |
| 対策の基本 | 発病初期の除去、被害残さの処分、適正な肥培管理、必要に応じた登録農薬 |
ネギさび病の見分け方・特徴

ネギさび病の最大の特徴は、葉にできるオレンジ色〜橙黄色の小斑点です。単なる葉の黄化や先枯れとは違い、病斑そのものの色と形に特徴があります。
- オレンジ色の小斑点:黄〜橙色で、紡錘形〜楕円形の小さな病斑が葉に多数できます。
- やや盛り上がる:病斑は葉の表面から少し盛り上がったように見えます。
- 粉が出る:病斑の表皮が破れると、内部から橙黄色の粉状の胞子が現れます。
- 葉が枯れる:被害が激しくなると病斑が葉全体へ広がり、黄白色になって枯死することがあります。
晩秋には、オレンジ色の病斑周辺に黒褐色の胞子層が見えることもあります。初期のオレンジ色病斑と、進行後の葉枯れをセットで確認すると見分けやすくなります。
症状が出やすい場所

さび病は主に葉に発生し、花茎にも症状が出ることがあります。畑を見回るときは、株全体が黄色くなるのを待つのではなく、葉の表面に小さなオレンジ色病斑がないかを早めに確認します。
- 葉の表面:オレンジ色の小斑点が最も見つけやすい場所です。
- 葉身の中央:小斑点が複数まとまって見えることがあります。
- 葉先側:病勢が進むと、黄白色〜褐色に枯れ込む葉が目立ちます。
- 花茎:抽苔した株では花茎にも黄〜橙色の病斑が出ることがあります。
発病初期は株全体の生育が大きく崩れないこともあるため、「葉色が少し悪い」だけで済ませず、病斑を近くで確認することが早期発見につながります。
ネギさび病と白色疫病の違い

ネギさび病と白色疫病は、どちらも葉に症状が出て葉枯れにつながるため、遠目では似て見えることがあります。見分けるときは病斑の色と、粉状胞子や葉の折れ曲がりの有無を確認します。
| 確認点 | ネギさび病 | 白色疫病 |
| 病斑の色 | 黄〜橙色の小斑点 | 青白色〜黄白色の大型病斑 |
| 病斑の形 | 紡錘形〜楕円形の小型病斑が多数 | 健全部との境界が比較的明瞭な大型病斑 |
| 表面 | 表皮が破れ、橙黄色の粉状胞子が出る | オレンジ色の粉状胞子は出ない |
| 葉の折れ曲がり | 主な診断軸ではない | 病斑部から葉が折れ曲がることが特徴 |
オレンジ色の小斑点と粉が目立つならさび病、青白い大型病斑から葉が折れ曲がっているなら白色疫病を疑いやすくなります。白色疫病についてはタマネギ白色疫病の記事も参考にしてください。
見つけたら最初に確認すること

ネギの葉に斑点を見つけたら、次の4点を順番に確認します。
- 色:斑点が黄色〜オレンジ色になっているか。
- 形:紡錘形〜楕円形の小斑点が複数出ているか。
- 粉:病斑表面が破れ、橙黄色の粉が見えるか。
- 枯れ葉:病斑が多い葉が黄白色〜褐色に乾いて枯れていないか。
オレンジ色の粉が確認できる場合は、病葉をそのまま畑に残さないようにします。胞子が飛散して周囲のネギへ広がるため、発病初期の対応が重要です。
ネギさび病が発生しやすい時期・条件
ネギさび病は春から秋に発生しますが、特に春と秋の比較的涼しく、雨や湿度の高い条件で発生しやすい病気です。茨城県の病害虫資料では、夏胞子の感染・発病に最も適する気温を15〜20℃とし、湿度が高い条件で発生しやすいとしています。
夏の高温期は発生が少なくなりやすい
タキイ種苗の資料では、発生時期は春〜秋ですが、夏季は高温のため発生が少なくなるとされています。寒冷地では真夏だけでなく、春〜初夏や晩夏〜秋の冷涼な時期も注意が必要です。
被害葉・被害株が伝染源になる
病原菌は被害植物上で胞子の形で生存し、翌春以降の感染源になります。発病葉にできた胞子が飛散して伝染を繰り返すため、病葉や被害残さを畑に残さないことが大切です。
肥料の過不足にも注意する
公的資料では、肥料不足だけでなく肥料過多でも発病しやすくなるとされています。生育を見ながら適切に肥培管理し、極端な肥料切れや過剰施肥を避けます。
家庭菜園でできるネギさび病対策
1. 発病した葉を早めに取り除く
オレンジ色の病斑が少ない初期のうちに、発病葉を取り除きます。多発してからでは防除が難しくなるため、少数の病斑でも放置しないことが重要です。取り除いた病葉は畝の脇へ放置せず、地域のルールに従って処分します。
2. 被害残さを畑に残さない
病原菌は被害植物上で生存して次作の感染源になるため、収穫後の発病葉や被害株も畑に残さないようにします。前年にさび病が多かった場所では、春の早い時期から葉を確認します。
3. 肥料の過不足を避ける
肥料切れで株が弱ると発病が助長されることがあります。一方で過剰施肥も発生を助長することがあるため、ネギの生育を見ながら適正量を施します。
4. 春と秋はこまめに葉を確認する
15〜20℃前後で雨が続く時期は、葉の表面をこまめに確認します。葉全体が枯れてからではなく、オレンジ色の小斑点が数個見える段階で気づけると対処しやすくなります。
5. ネギ類の周辺株も確認する
ネギさび病の病原菌は、タマネギやニンニクなどのネギ類にも関係します。近くでネギ類を栽培している場合は、ネギだけでなく周辺の葉にも同じオレンジ色病斑がないか確認します。タマネギ栽培はタマネギの育て方、ニンニク栽培はニンニクの育て方も参考にしてください。
農薬を使う場合の注意
ネギのさび病には登録農薬がありますが、農薬登録は追加・変更・失効することがあります。使用する場合は、農林水産省の農薬登録情報提供システムで、使用時点の「ねぎ」と「さび病」の登録内容を確認してください。
確認する項目は、希釈倍数、使用時期、使用回数、収穫前日数、使用方法などです。多発してからでは防除効果が得にくいため、薬剤を使う場合も発病初期の対応を基本にします。
ネギさび病になったネギは食べられる?
今回確認した病害資料では、さび病にかかったネギの食用可否について一律の基準は示されていません。さび病は主に葉に病斑を作りますが、強く発病した葉は商品性が低下し、胞子の伝染源にもなります。
家庭菜園では、病斑が多数ある葉や枯れ込んだ部分は食用に回さず除去し、異臭・軟化・腐敗など別の傷みがある部分は食べないようにしてください。病葉を切った後は、そのまま畑へ放置しないことも大切です。
予防と早期発見のポイント
- 葉にオレンジ色の小斑点がないか確認する
- 病斑が少し盛り上がっていないか見る
- 表皮が破れて橙黄色の粉が出ていないか確認する
- 春・秋の15〜20℃前後で雨が続く時期は特に注意する
- 発病葉を早めに取り除く
- 被害残さを畑に残さない
- 肥料の過不足を避ける
- 周辺のタマネギ・ニンニクなどネギ類も確認する
- 必要に応じて最新登録を確認して農薬を使う
よくある質問
ネギさび病の一番分かりやすい症状は?
葉にできる黄色〜オレンジ色の小斑点です。病斑はやや盛り上がり、表皮が破れると橙黄色の粉状胞子が現れます。
白色疫病とはどう見分けますか?
さび病はオレンジ色の小斑点と粉状胞子が特徴です。白色疫病は青白色〜黄白色の大型病斑ができ、病斑部から葉が折れ曲がることがあります。
寒冷地でも発生しますか?
発生します。15〜20℃前後の冷涼な条件で発生しやすいため、寒冷地では春〜初夏や晩夏〜秋の雨が多い時期に特に注意します。
真夏にも発生しますか?
春〜秋に発生しますが、夏の高温期は発生が少なくなる傾向があります。気温が下がり始める晩夏〜秋に再び注意します。
発病した葉は残しても大丈夫ですか?
発病葉には胞子が形成され、周囲への伝染源になります。病斑を見つけたら早めに取り除き、畑に放置しないようにします。
ネギ以外にもさび病は出ますか?
ネギさび病の病原菌は、タマネギやニンニクなどのネギ類にも関係します。近くで栽培している場合は同じようなオレンジ色病斑がないか確認してください。


