ホウレンソウの葉に淡黄色〜黄白色のぼんやりした病斑が現れ、葉裏に灰紫色のかびが見えるときは、ホウレンソウべと病を疑います。進むと葉の大部分が黄化し、ひどい場合は枯死します。
ホウレンソウべと病は、冷涼で多湿な時期に発生しやすい病気です。見分けるときは、淡黄色の不整形病斑、境界がぼんやりしていること、葉裏の灰色〜灰紫色のかび、展開した下位葉に出やすいことをセットで確認します。似た症状が出る炭疽病とは、病斑の輪郭や黒い小粒、葉裏のかびの有無で見分けます。
ホウレンソウべと病の基本情報・早見表
| 項目 | 確認内容 |
| 原因 | 糸状菌(かび)Peronospora effusaによる病気 |
| 主な症状 | 青白色〜黄色の境界不明瞭な小斑点が広がり、淡黄色〜淡紅色の不整形病斑になる |
| 葉裏 | 病斑の裏面に灰色〜灰紫色の粉状のかびが出る |
| 発生部位 | 葉。特に展開した下位葉に発生しやすい |
| 発生しやすい時期 | 春・秋。秋まきでは晩秋の生育後期に発生が多い |
| 発生条件 | 8〜18℃前後の冷涼多湿。密植、チッソ過多、草勢低下などで発生が増えやすい |
| 広がり方 | 病葉にできた胞子が風などで広がる。被害残さや種子が感染源になることもある |
| 対策の基本 | 発病株の早期除去、密植回避、適正施肥、健全種子・抵抗性品種の利用、必要に応じた薬剤防除 |
ホウレンソウべと病の見分け方・特徴

ホウレンソウべと病を見分けるときは、「淡黄色の病斑」「境界がぼんやり」「葉裏の灰紫色のかび」「進むと黄化して枯れる」の4点を確認します。
- 淡黄色の病斑:葉表に青白色〜黄色の小斑点が現れ、次第に淡黄色〜淡紅色の不整形病斑へ広がります。
- 境界がぼんやり:初期病斑は健全部との境界がはっきりしません。
- 葉裏に灰紫色のかび:病斑の裏側に灰色〜灰紫色の粉状のかびが出ます。べと病を見分ける重要なポイントです。
- 進むと黄化して枯れる:病斑が拡大すると葉の大部分が淡黄色になり、最終的に枯死することがあります。
葉表の黄色い病斑だけでは、炭疽病や生理障害とも迷います。黄色い葉を見つけたら葉裏まで確認し、灰紫色のかびが出ていないかを見るのが大切です。
症状が出やすい場所

ホウレンソウべと病は葉に発生します。特に展開した外葉・下葉で症状を見つけやすく、葉表と葉裏をセットで確認します。
- 葉の表面:青白色〜黄色の小斑点や、淡黄色の不整形病斑を確認する場所です。
- 葉裏:灰色〜灰紫色の粉状のかびが出ていないか確認します。
- 外葉・下葉:展開した下位葉に発生することが多いため、株の外側から観察します。
- 病斑の裏側:葉表の病斑に対応する裏面へ、灰紫色のかびが出ていないか確認します。
葉が黄色くなっているだけで判断せず、病斑がある葉をそっと裏返してください。葉裏の灰紫色のかびまで確認できると、べと病を疑いやすくなります。
べと病と炭疽病の違い

ホウレンソウでは、炭疽病も黄色系の病斑をつくるため混同しやすい病気です。病斑の輪郭、黒い小粒、葉裏の状態を比べます。
| 確認点 | べと病 | 炭疽病 |
| 病斑 | 青白色〜淡黄色で境界がぼんやりした不整形病斑 | 灰色〜淡黄色で輪郭が比較的明瞭な病斑 |
| 黒い小粒 | 主要な診断点ではない | 病斑上に小さな黒い粒が見られる |
| 葉裏 | 灰色〜灰紫色の粉状のかびが出る | べと病のような灰紫色のかびは基本的な診断点ではない |
| 古い病斑 | 葉全体が黄化し枯死することがある | 乾燥してもろくなり、破れて穴が開くことがある |
「境界がぼんやりした黄斑+葉裏の灰紫色かび」ならべと病、「輪郭の比較的はっきりした病斑+黒い小粒」なら炭疽病を優先して疑います。
見つけたら最初に確認すること

- 色:葉表に青白色〜淡黄色の病斑が出ているか
- 境界:病斑の輪郭がぼんやりして不明瞭か
- 葉裏:病斑の裏側に灰色〜灰紫色のかびが出ているか
- 外葉か:展開した外葉・下葉から症状が目立っていないか
特に重要なのは葉裏です。表面が黄色いだけでは断定できないため、葉裏のかびまで確認してから判断します。
ホウレンソウべと病が発生しやすい時期・条件
ホウレンソウべと病は8〜18℃前後の冷涼な条件で活発になり、多湿条件で発生しやすくなります。秋まき栽培では、晩秋の生育後期に発生が増えることがあります。
曇雨天が続いて葉が乾きにくいと感染しやすく、密植やチッソ過多も被害を助長します。また、肥料切れなどで草勢が弱ったときに発生が増えることもあります。
病原菌は病葉の組織内で増え、葉上につくられた胞子が風などで飛散します。被害残さや種子が第一次伝染源になることもあるため、発病株を残さないことと健全な種子を使うことが重要です。
家庭菜園でできるべと病対策
発病葉・発病株は早めに取り除く
発病した葉では胞子が形成され、周囲へ広がる感染源になります。症状を見つけたら被害葉や発病株を早めに取り除き、畝や通路へ放置しないようにします。
密植を避けて風通しを良くする
厚まき・密植になると葉が重なり、株の中が乾きにくくなります。適切に間引き、ホウレンソウの育て方を参考に、葉が込み合いすぎない状態を保ちます。
過湿を避け、葉を長くぬらさない
べと病菌の胞子は水滴があると発芽しやすくなります。排水の悪い畝は高畝などで改善し、水やりは葉が長時間ぬれ続けないように行います。施設栽培では換気も意識します。
チッソ過多と肥料切れを避ける
チッソ過多で葉が茂りすぎると密植状態になりやすく、べと病の被害を助長します。一方、肥料切れなどで草勢が弱ったときにも発生が増えるため、極端な多肥・肥料切れを避けます。
健全な種子・抵抗性品種を選ぶ
ホウレンソウべと病は種子伝染することがあり、消毒済み種子などの健全な種子を使うことが予防につながります。春・秋など発生しやすい作型では、地域で問題になっているレースに対応した抵抗性品種も選択肢です。
農薬を使う場合の注意
ホウレンソウべと病には登録のある農薬がありますが、登録内容は追加・変更されます。使用する場合は、農林水産省の「農薬登録情報提供システム」で、その時点の「ほうれんそう・べと病」への登録を確認してください。
対象作物、病害名、使用時期、使用回数、希釈倍数・使用量、収穫前日数など、製品ラベルの条件を必ず守ります。特定の商品名や古い使用条件を記事だけで判断せず、使用直前の最新登録を確認してください。
べと病が出たホウレンソウは食べられる?
病斑や葉裏の灰紫色のかびが見える葉は、家庭菜園では食用にせず取り除くのが安全です。べと病の病葉はすでに品質が低下しており、葉物野菜は目に見える腐敗・傷み・かびがあるものを無理に利用しないのが食品衛生上の基本です。
同じ株でも、症状が出ていない健全な葉を利用する場合は、病葉を取り除いたうえでよく洗い、ぬめり、異臭、腐敗、明らかなかびなど別の傷みがないことを確認してください。ただし、「病気の部分だけ切り取れば残りは必ず安全」と断定できる病害別の公的資料は確認できないため、少しでも傷みが強い株は無理に食べないほうが安心です。
農薬を使用した場合は、病斑の有無とは別に、製品ラベルの収穫前日数や使用回数などを必ず守ってください。
予防と早期発見のポイント
- 展開した外葉・下葉の淡黄色病斑を見逃さない
- 黄色い葉を見つけたら必ず葉裏まで確認する
- 葉裏の灰色〜灰紫色の粉状かびを探す
- 8〜18℃前後で曇雨天が続く時期は重点的に観察する
- 厚まき・密植を避けて風通しを確保する
- チッソ過多と肥料切れの両方を避ける
- 発病葉・発病株は早めに取り除く
- 健全な種子や抵抗性品種を利用する
葉に輪郭のはっきりした病斑と黒い小粒がある場合はホウレンソウ炭疽病、下葉の黄化と萎れに加えて根や維管束に異常がある場合はホウレンソウ萎凋病やホウレンソウ根腐病も確認してください。
よくある質問
葉裏に灰紫色のかびがあれば、べと病ですか?
灰色〜灰紫色の粉状かびはホウレンソウべと病の重要な診断点です。ただし、葉表に境界不明瞭な淡黄色病斑があるか、外葉・下葉に症状が出ているかも合わせて確認します。
炭疽病との一番分かりやすい違いは?
べと病は病斑の境界がぼんやりしており、葉裏に灰紫色のかびが出るのが特徴です。炭疽病は病斑の輪郭が比較的明瞭で、病斑上に黒い小粒が見られ、古くなると穴が開くことがあります。
寒冷地では秋に発生しやすいですか?
発生しやすい病気です。べと病菌は8〜18℃前後の冷涼な条件で活発になり、秋まき栽培では晩秋の生育後期に発生が多くなることがあります。曇雨天が続く時期は特に注意します。
発病葉を取れば、それだけで治りますか?
発病葉を取り除くことは感染源を減らすため重要ですが、それだけで完全に止まるとは限りません。周辺株も確認し、密植・過湿・風通し・施肥状態を見直します。発生が続く場合は最新登録を確認して薬剤防除も検討します。
一度発生した畝で、またホウレンソウを育てても大丈夫?
被害残さが感染源になり、周年栽培では土壌伝染の可能性もあるため、発病株や残さを畑に残さないことが重要です。発生が続く場所では連作を避け、健全な種子や抵抗性品種の利用も検討します。


