ピーマンの葉に小さな褐色斑点が増え、葉裏では水がしみたような小斑点が見えるときは、ピーマン斑点細菌病を疑います。病斑は拡大すると周縁が暗緑色〜暗褐色、中心が褐色の円形〜不整形になり、若葉では葉がゆがんだり、多発すると落葉したりすることがあります。
ピーマン斑点細菌病は、Xanthomonas属の細菌による病気です。特に20〜25℃前後で降雨が続く時期に発生しやすく、露地では梅雨期や秋雨期に注意します。見分けるときは、葉裏の水浸状小斑点、周縁の濃い色、中心部の褐変、若葉の奇形をセットで確認します。
ピーマン斑点細菌病の基本情報・早見表
| 項目 | 内容 |
| 病名 | ピーマン斑点細菌病 |
| 原因 | Xanthomonas属の細菌による病気 |
| 主な症状 | 葉裏に隆起した水浸状の小斑点ができ、拡大すると周縁が暗緑色〜暗褐色、中心が褐色の病斑になる |
| 主な発生部位 | 葉、葉柄、茎。資料によっては果実にも病斑が確認される |
| 進行時の症状 | 病斑が融合し、若葉が奇形になったり、発病葉が落葉したりする |
| 発生しやすい条件 | 20〜25℃前後、連続した降雨、多湿、露地栽培、ハウス内の結露など |
| 伝染 | 種子伝染・土壌伝染があり、雨やかん水による飛散で広がる |
| 似た病気 | 疫病、斑点病、うどんこ病、灰色かび病など |
| 対策の基本 | 早期発見、発病葉の除去、排水・通風の改善、雨よけ、適正な肥培管理、必要に応じた登録農薬の確認 |
ピーマン斑点細菌病の見分け方・特徴

ピーマン斑点細菌病を見分けるときは、「水浸状の小斑点」「周縁の濃い色」「中心の褐色」「果実にも出ることがある」の4点を確認します。
- 水浸状の小斑点:葉裏に、水がしみたようなやや隆起した小斑点が現れます。
- 周縁は暗緑色〜暗褐色:病斑が拡大すると、周囲が濃い色で縁取られたように見えます。
- 中心は褐色:病斑中央は褐色になり、盛夏など高温時には淡褐色〜白っぽく見えることがあります。
- 果実にも出ることがある:海外の園芸資料では、果実にやや盛り上がった褐色〜かさぶた状の病斑が出ることが示されています。
葉に褐色斑点があるだけでは、斑点病や疫病などと迷うことがあります。斑点の大きさだけで決めず、葉裏の初期症状、病斑の周縁と中心の色、若葉の変形まで確認するのがポイントです。
症状が出やすい場所

斑点細菌病は葉だけを見るより、葉裏、若葉、茎、果実を順番に確認すると見つけやすくなります。特に葉裏の水浸状小斑点は、初期症状を探すうえで重要です。
- 葉裏:やや隆起した水浸状の小斑点がないか確認します。
- 若葉:葉脈に沿った不整形病斑や、葉のゆがみ・奇形が出ていないか見ます。
- 茎・葉柄:水浸状の病斑から、表面が破れてかさぶた状になった褐色病斑がないか確認します。
- 果実:小さな褐色斑点や盛り上がったかさぶた状の病斑がないか確認します。
雨のあとに葉へ斑点が増えた場合は、株全体を上から見るだけでなく葉裏までめくって確認してください。日常の水やり、整枝、株間などはピーマンの育て方も参考にできます。
ピーマン斑点細菌病と疫病の違い

斑点細菌病と疫病は、どちらも湿った条件で広がりやすく、葉や果実に褐色〜暗色の病斑が出るため迷うことがあります。大きな違いは、小斑点が主体か、大きくにじんで軟化腐敗するかです。
| 確認点 | 斑点細菌病 | 疫病 |
| 葉の初期症状 | 葉裏に隆起した水浸状の小斑点 | 水浸状で暗緑色〜暗褐色の比較的大きな病斑 |
| 病斑の広がり | 小斑点が拡大・融合し、円形〜不整形になる | にじむような不整形病斑が拡大する |
| 果実 | 小さな褐色〜かさぶた状病斑が出ることがある | 水浸状になって軟らかく腐敗し、褐変する |
| かび | 肉眼で見える霜状のかびは主な診断軸ではない | 高湿度時に病斑上へ灰白色の霜状かびが出ることがある |
| 株全体 | 多発すると落葉しやすい | 地際や根が侵されると急にしおれ、株が枯れることがある |
「小斑点が多数あり、周縁が濃く中心が褐色」なら斑点細菌病、「大きくにじんで広がり、果実や茎が軟化腐敗する」なら疫病を優先して疑います。
見つけたら最初に確認すること

ピーマンの葉に斑点細菌病らしい症状を見つけたら、次の4点を順番に確認します。
- 葉裏:隆起した水浸状の小斑点がないか。
- 色:病斑の周縁が暗緑色〜暗褐色で、中心が褐色になっていないか。
- 果実:小さな褐色斑点やかさぶた状の病斑が出ていないか。
- 若葉:葉脈に沿う不整形病斑や、葉のゆがみ・奇形がないか。
白い粉が葉面へ広がる場合はうどんこ病、傷んだ花や果実に灰色のかびが広がる場合は灰色かび病など、別の病気も確認します。
ピーマン斑点細菌病が発生しやすい時期・条件
ピーマン斑点細菌病は、高温すぎる真夏だけの病気ではなく、20〜25℃前後で雨が続き、葉がぬれやすい条件で増えやすい病気です。寒冷地でも梅雨期や秋雨期は注意します。
20〜25℃前後で雨が続く
高知県の病害情報では、気温20〜25℃で降雨が続くと多発しやすく、発生時期として6〜7月の梅雨期と9月の秋雨期が示されています。雨が何日も続くときは、葉の表面だけでなく葉裏の小斑点まで確認します。
露地の雨・土はねと施設内の結露
露地栽培で発生しやすく、病原細菌は雨やかん水による水滴、土壌由来の飛散などで周囲へ広がります。施設栽培でも、夜間の冷え込みで結露が続くなど多湿条件になると発生しやすくなります。
種子や被害残さが感染源になる
斑点細菌病は種子伝染するほか、病原細菌が被害茎葉や土壌に残って感染源になることがあります。前年に発病した場所では、被害残さをそのまま残さず、健全な種苗を使うことが重要です。
窒素過多や過繁茂にも注意する
茨城県や熊本県の防除資料では、窒素過多を避け、通風や排水を良くすることが耕種的対策として示されています。肥料を多く与えすぎて葉が込み合う状態を避け、株の中まで乾きやすい環境を作ります。
家庭菜園でできるピーマン斑点細菌病対策
1. 発病葉を早めに取り除く
斑点が少ないうちに発病葉を見つけ、強く発病した葉は早めに取り除きます。発生が多くなってからの防除は難しくなるため、初期対応が重要です。作業後は病葉を畝の上に放置せず、地域のルールに従って処分します。
2. 雨よけと換気で葉がぬれる時間を減らす
可能であれば雨よけを利用し、施設では換気して結露を減らします。水やりは必要量を株元へ与え、葉へ強く水をかけ続けないようにすると、飛散と長時間の葉ぬれを抑えやすくなります。
3. 排水を良くし、株を混み合わせない
水がたまりやすい畝では排水を改善し、枝葉が混みすぎた場合は栽培記事の整枝方法を参考に風通しを確保します。葉が乾きにくい環境が続くほど発生リスクが高まるため、株間と枝葉の込み具合も見直します。
4. 窒素肥料を与えすぎない
窒素過多は発病を助長する要因として防除資料に挙げられています。一度に多量の肥料を与えず、生育や葉色を見ながら適正に追肥します。肥料切れを起こさないことも含め、極端な肥培管理を避けます。
5. 健全な種子・苗を使い、被害残さを残さない
種子伝染することがあるため、健全な種子・苗を使います。栽培終了後は発病した葉や茎を畑へ残さず整理し、次作への感染源を減らします。
農薬を使う場合の注意
農薬の登録内容は追加・変更・失効することがあります。使用する場合は、農林水産省の農薬登録情報提供システムで、使用時点の「ピーマン」と「斑点細菌病」に登録があることを確認してください。
確認する項目は、対象作物、病害名、希釈倍数・使用量、使用時期、使用回数、収穫前日数、使用方法などです。似た病気に登録がある製品でも、ピーマン斑点細菌病への適用が確認できなければ使用しません。
斑点細菌病が出たピーマンは食べられる?
今回確認した国内のピーマン斑点細菌病の公的資料では、発病果実の食用可否について一律の基準は示されていません。家庭菜園では、病斑が多い果実、病斑部が割れている果実、軟化・腐敗・異臭がある果実は食用に回さないのが安全です。
海外の大学Extensionでは、斑点細菌病の果実病斑は盛り上がった褐色〜かさぶた状になることがあり、湿潤条件では病斑部から別の微生物が入り二次腐敗につながる場合があるとされています。農林水産省も、生鮮野菜は新鮮で傷んでいないものを選び、食べる前には流水でしっかり洗うよう案内しています。
同じ株でも症状のない果実を利用する場合は、表面に軟化、ひび割れ、異臭、腐敗などの異常がないことを確認し、調理前に流水でよく洗います。「病斑だけ切れば残りは必ず安全」「加熱すれば必ず問題ない」とする病害別の公的根拠は今回確認できていないため、傷みが強いものは無理に利用しないでください。農薬を使用した場合は、食用可否とは別に収穫前日数などの使用基準を守ります。
予防と早期発見のポイント
- 雨のあとに葉裏の水浸状小斑点を確認する
- 病斑の周縁が暗緑色〜暗褐色、中心が褐色になっていないか見る
- 若葉に葉脈沿いの病斑や奇形がないか確認する
- 果実にも小さな褐色〜かさぶた状斑点がないか見る
- 20〜25℃前後で雨が続く梅雨期・秋雨期は見回り回数を増やす
- 発病葉は少ないうちに取り除く
- 雨よけ、換気、排水で多湿を避ける
- 窒素肥料を与えすぎない
- 健全な種子・苗を使う
- 被害残さを畑に残さない
- 農薬を使う場合は最新の登録内容を確認する
斑点ではなく白い粉が目立つ場合はうどんこ病、褐色に傷んだ部分へ灰色のかびが広がる場合は灰色かび病も確認してください。
よくある質問
ピーマン斑点細菌病の一番分かりやすい症状は?
葉裏にできる、やや隆起した水浸状の小斑点です。進むと周縁が暗緑色〜暗褐色、中心が褐色の円形〜不整形病斑になります。
疫病とはどう見分けますか?
斑点細菌病は小斑点が多数出るのに対し、疫病は暗緑色の水浸状病斑が大きくにじむように広がり、果実や茎が軟化腐敗することがあります。高湿度時の霜状のかびも疫病側の確認点です。
雨が続くと発生しやすくなりますか?
発生しやすくなります。高知県の資料では、20〜25℃で降雨が続くと多発しやすく、6〜7月の梅雨期と9月の秋雨期が発生時期として示されています。
若い葉がゆがむこともありますか?
あります。展開中の若葉では葉脈に沿って不整形病斑ができ、葉が奇形になることがあります。斑点だけでなく新葉の形も確認してください。
斑点が出たピーマンは食べられますか?
病害別に一律の食用可否を示す国内公的資料は今回確認できませんでした。病斑が多い、ひび割れ、軟化、腐敗、異臭がある果実は食用に回さず、症状のない果実を利用する場合も流水でよく洗って状態を確認してください。
農薬を使う場合は何を確認すればいいですか?
使用時点で「ピーマン」と「斑点細菌病」に登録があるかを農薬登録情報提供システムで確認し、希釈倍数・使用量、使用時期、使用回数、収穫前日数、使用方法など製品ラベルの条件を守ります。


