ホウレンソウの新芽や中心葉に小さな穴やこぶ状の突起が出て、葉がつやのある奇形になったり縮れたりしている場合は、ホウレンソウケナガコナダニを疑います。虫体は0.3〜0.7mm程度と非常に小さく、葉の上に大きな虫が見える害虫ではありません。
この害虫は土壌表層で増殖し、ホウレンソウの新芽へ入り込んで食害します。春と秋の低温期、とくに施設やトンネル栽培で問題になることがあり、被害が進むと新葉が正常に展開せず、褐変や芯止まりにつながることがあります。
ホウレンソウケナガコナダニの基本情報・早見表
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 分類 | コナダニ科の小型ダニ |
| 大きさ | 体長0.3〜0.7mm程度 |
| 見た目 | 光沢のある乳白色で、後胴体部に長い毛がある |
| 主な被害 | 新芽・中心葉の小さな穴、こぶ状の小突起、光沢のある奇形、縮れ |
| 被害が進むと | 褐変、芯止まり、生育抑制につながることがある |
| 確認しやすい場所 | 新芽・中心葉、若い葉、株元の表層土 |
| 発生の目安 | 春と秋に増えやすい。低温期の施設・トンネル栽培では特に注意する |
| 対策の基本 | 早期発見、被害株や残さの整理、未熟な有機物の多用を避ける、必要に応じた登録農薬の確認 |
ホウレンソウケナガコナダニの見分け方・特徴

ホウレンソウケナガコナダニは、体長0.3〜0.7mm程度の極小のダニです。体は光沢のある乳白色で、後ろ側に長い毛があります。肉眼では細かな白い点のようにしか見えないことがあり、虫そのものより新芽の被害から気付くことが多い害虫です。
- 虫体:0.3〜0.7mm程度の極小サイズ
- 体色:光沢のある乳白色
- 体の特徴:後胴体部に長い毛がある
- 食害位置:新芽・中心葉へ入り込む
- 被害葉:小さな穴、こぶ状の小突起、光沢、奇形、縮れ
ハダニ類のように葉裏へ広く寄生してかすり状の症状を出したり、クモの巣状の糸を目立たせたりする害虫とは被害の出方が異なります。ホウレンソウの中心部に集中して新葉が変形しているかをまず確認します。
被害が出やすい場所

被害を探すときは、古い外葉だけを見るのではなく、新芽・中心葉から確認します。土壌中で増えたコナダニが株へ移動して新芽を食害するため、中心部の若い葉に症状が集中しやすいのが特徴です。
- 新芽・中心葉:小穴、こぶ状の小突起、縮れがないか
- 若い葉:光沢が強く、正常に展開していない葉がないか
- 株元の表層土:発生源になりやすい浅い土の状態を確認する
- 周辺株:同じ畝で中心葉の奇形が増えていないか
農研機構の調査では、4〜6葉期に土壌表層のコナダニ密度が増えて株への寄生が始まり、8〜10葉期には寄生株率と被害が高まる例が示されています。見た目の被害が強くなる前から、中心葉の変化を確認することが重要です。
ホウレンソウケナガコナダニとべと病の違い

低温期のホウレンソウで葉がおかしくなると、べと病と迷うことがあります。見分けるときは、症状が「新芽の変形」なのか、「葉の黄斑と葉裏のカビ」なのかを確認します。
| 確認点 | ホウレンソウケナガコナダニ | ホウレンソウべと病 |
|---|---|---|
| 症状が出やすい場所 | 新芽・中心葉 | 葉。下葉から目立つことがある |
| 葉の見た目 | 小さな穴、こぶ状の小突起、光沢、奇形、縮れ | 淡黄色〜淡緑色の不整形病斑 |
| 葉裏 | 灰色カビを主症状にしない | 病斑の裏に灰色〜灰紫色のカビが出ることがある |
| 原因 | 極小のダニによる食害 | 病原体による病気 |
中心葉に小穴やこぶがあり、葉そのものがつやのある奇形になっている場合はコナダニ被害を疑います。一方、黄色っぽい病斑が広がり、葉裏に灰色〜灰紫色のカビが見える場合はべと病の可能性が高くなります。
見つけたら最初に確認すること

ホウレンソウケナガコナダニらしい被害を見つけたら、次の4点を順番に確認します。
- 新芽・中心葉:中心の若い葉から症状が出ていないか
- 小さな穴・こぶ:微小な食害穴やこぶ状の小突起がないか
- 光沢・縮れ:葉が正常に展開せず、つやのある奇形になっていないか
- 株元の表層土:発生源になりやすい浅い土の状態を確認する
被害株だけで終わらせず、同じ畝の周辺株も確認してください。極小のダニなので虫体が見えなくても、中心葉に同じ症状が複数株へ出ている場合は早めに対策します。
発生しやすい時期・条件
春と秋の低温期に増えやすい
ホウレンソウケナガコナダニは春と秋に増えやすく、平均気温が20℃以下になる秋から春にかけて増殖する資料があります。高温には比較的弱いため、真夏より低温期の栽培で注意します。
施設・トンネル栽培では特に注意する
公的資料では、中山間地域の施設ホウレンソウで春期・秋期に多発した事例があります。家庭菜園でも、秋〜春にトンネルや簡易施設を使ってホウレンソウを育てる場合は、中心葉の奇形を早めに確認します。
土壌表層の有機物や残さを増やしすぎない
ホウレンソウケナガコナダニは本来、土壌中の有機物や糸状菌などを利用して生活する小型ダニです。なたね油かすや一部の新鮮な野菜残さが増殖を助けることが示されているため、発生しやすい時期に未熟な有機物や分解しやすい有機質資材を多量に入れるのは避けます。
家庭菜園でできるホウレンソウケナガコナダニの対策
被害株と収穫残さを畝に残さない
被害が強い株や収穫後の葉を畝に長く残さず整理します。植物残さはコナダニの増殖源になる場合があるため、発生が疑われる畝では特に放置しないようにします。
未熟な有機物や油かすの多用を避ける
春・秋の発生しやすい時期には、未熟な有機物を種まき直前に大量投入しないようにします。有機質肥料を使う場合も、被害が続いている畝では施用量や時期を見直します。
中心葉を定期的に観察する
虫体が非常に小さいため、ダニそのものを探すより、新芽・中心葉の小穴、こぶ、光沢、縮れを見ます。4〜6葉期ごろから中心部を確認し、被害が強くなる前に気付くことが重要です。
多発した畝は次作前の土づくりを見直す
毎作のように被害が出る場合は、残さ、有機質資材、栽培間隔などを見直します。専門栽培では蒸気・熱水などによる土壌消毒の研究例がありますが、家庭菜園では設備や温度管理が必要なため、安易に同じ方法を再現するのではなく、まず残さ管理と資材の見直しを優先します。
農薬を使う場合の注意
被害が広がり、栽培管理だけでは抑えにくい場合は、ホウレンソウとホウレンソウケナガコナダニに登録のある農薬を検討します。
農薬登録は変更されることがあります。使用前に農林水産省の最新の農薬登録情報と製品ラベルを確認し、使用時期、希釈倍率、使用量、使用回数、収穫前日数を守ってください。古い資料に掲載された商品名や倍率をそのまま使わないようにします。
被害を受けたホウレンソウは食べられる?
虫害があるだけで、株全体を一律に食べられないと判断する必要はありません。ただし、強く縮れた部分、褐変した部分、傷みが進んだ部分は取り除きます。
中心葉の隙間には極小の虫や土が入り込んでいる可能性があるため、葉を分けて流水でよく洗い、状態を確認してください。腐敗、異臭、ぬめりなどがある部分は食用を避けます。農薬を使用した場合は、製品ラベルの収穫前日数を必ず守ります。
予防と早期発見のポイント
- 春・秋の低温期は中心葉をこまめに確認する
- 小穴だけでなく、こぶ状の小突起、光沢、縮れをセットで見る
- 虫体は0.3〜0.7mm程度なので、大きな虫が見えないだけで除外しない
- 被害株や収穫残さを畝へ放置しない
- 未熟な有機物や油かすを発生しやすい時期に多用しない
- 同じ畝で繰り返す場合は土づくりと有機質資材の使い方を見直す
- 黄斑と葉裏の灰色カビがある場合はべと病も確認する
- 被害が広がる場合は最新の登録農薬を確認する
よくある質問
ホウレンソウケナガコナダニは肉眼で見えますか?
体長0.3〜0.7mm程度と非常に小さく、肉眼では白い点のようにしか見えないことがあります。虫体だけを探すより、新芽の小穴、こぶ、光沢、奇形を手掛かりに確認します。
べと病との一番分かりやすい違いは?
コナダニ被害は新芽・中心葉の小穴、こぶ状突起、光沢のある奇形が中心です。べと病は葉に淡黄色〜淡緑色の病斑が出て、葉裏に灰色〜灰紫色のカビが見られることがあります。
秋のホウレンソウでも発生しますか?
はい。ホウレンソウケナガコナダニは春と秋に増えやすく、低温期の施設・トンネル栽培で問題になる例があります。秋まきでは生育初期から中心葉を確認します。
被害が出た葉だけ取れば大丈夫ですか?
被害葉の整理は必要ですが、コナダニは株元の表層土にも生息します。被害株だけでなく周辺株の中心葉を確認し、残さや有機質資材の管理も一緒に見直します。
ハダニ類と同じ対策でいいですか?
同じダニの仲間でも生息場所や被害の出方が異なります。ホウレンソウケナガコナダニは土壌表層で増殖し、新芽へ侵入する点が重要です。葉裏のかすり症状や糸だけを見るハダニ類の確認方法とは分けて考えます。


