ホウレンソウ根腐病の対策|主根上部の水浸状腐敗・黄化・倒伏を解説

ホウレンソウの若い株が黄化し主根上部から根腐れが進んだ根腐病の症状 病気

ホウレンソウの若い株が黄化して倒れ始め、主根の上部から胚軸にかけて水がしみたように変色しているときは、根腐病を疑います。進行すると病変部は褐色になって腐敗し、地上部はしおれて枯死します。

根腐病はアファノミセス菌による土壌病害です。病原菌は被害残さとともに土壌中で生存し、水の中を移動する遊走子をつくるため、土が湿りすぎる条件で発生しやすくなります。寒冷地でも夏の高温期や長雨が重なる時期は注意が必要です。

ホウレンソウ根腐病の基本情報・早見表

項目確認内容
原因糸状菌(かび)Aphanomyces cochlioides
発生しやすい株発芽後10日前後以降の幼植物・若い株
重要な症状主根上部〜胚軸が水浸状になり、後に褐変・腐敗する
地上部黄化、しおれ、倒伏、進行すると枯死
発生しやすい条件多湿・排水不良。発病適温は23〜27℃程度
発生時期晩春〜初秋。特に雨が多い時期に注意
伝染被害残さとともに土壌中で生存し、遊走子が自由水中を移動する
対策の基本連作回避、排水改善、過湿防止、発病株と残さの除去

ホウレンソウ根腐病の見分け方・特徴

ホウレンソウ根腐病の若苗、主根上部の水浸状病変、褐変・根腐れ、黄化・倒伏を示した図解

根腐病を見分けるときは、「若い株に出やすい」「主根上部が水浸状になる」「後に褐変して根腐れになる」「黄化して倒れる」の4点を確認します。

  • 若い株:発芽後10日前後以降の幼植物で症状が見られる
  • 主根上部:主根上部〜胚軸が濡れたような水浸状になる
  • 根腐れ:病変部が褐色へ変わり、根腐れ症状が進む
  • 地上部:葉が黄化し、株がしおれて倒伏・枯死へ進む

葉に斑点やカビが出る病気ではなく、診断の中心は地下部です。葉が黄色いだけで判断せず、株を抜いて主根上部から地際付近を確認します。

症状が出やすい場所

ホウレンソウ根腐病の症状が出やすい地上部、胚軸、主根上部、根を示した図解

根腐病では、地上部の黄化よりも先に地下部の異常を確認することが重要です。

  • 主根上部:最も重要な確認場所。初期は水浸状になる
  • 胚軸:主根上部から続く部分が水浸状〜褐色になる
  • 根:病気が進むと褐変・腐敗が広がる
  • 地上部:黄化、しおれ、倒伏が見られる

「水浸状」は、組織に水がしみ込んだように半透明〜暗色に見える状態です。表面に水滴が付いているだけの状態とは違います。

根腐病と萎凋病の違い

ホウレンソウ根腐病の主根上部の水浸状腐敗と萎凋病の下葉黄化・維管束褐変を比較した図解

ホウレンソウの萎凋病も黄化・しおれ・根の異常を起こしますが、根腐病とは症状の出方と地下部の診断点が異なります。

確認点根腐病萎凋病
株齢発芽後10日前後以降の若い株で目立つ生育中の株でも発生する
地上部黄化・しおれ・倒伏下葉から黄化・萎凋し、片側に強く出ることがある
根・地際主根上部〜胚軸が水浸状になり、後に褐変・腐敗主根・側根の一部が黒褐変
断面維管束褐変は主な診断点ではない根・クラウン・葉柄の維管束褐変が重要

主根上部〜胚軸の水浸状腐敗が中心なら根腐病、下葉からの黄化・片側性の萎れと維管束褐変がそろう場合はホウレンソウ萎凋病を優先して確認します。

見つけたら最初に確認すること

ホウレンソウ根腐病を見つけたときに確認する苗の大きさ、主根上部、水浸状病変、倒伏・黄化を示した図解
  • 苗の大きさ:発芽後10日前後以降の若い株か
  • 主根上部:主根上部〜胚軸に病変が集中していないか
  • 水浸状:組織が濡れたように半透明〜暗色になっていないか
  • 倒伏・黄化:葉が黄色くなり、株が傾いたり倒れ始めていないか

単なる水やり過多でも株は弱りますが、根腐病では主根上部〜胚軸に局所的な水浸状病変が現れ、その後褐変・腐敗へ進む点が重要です。

ホウレンソウ根腐病が発生しやすい時期・条件

根腐病の発病適温は23〜27℃程度とされ、晩春から初秋にかけて発生します。病原菌は遊走子をつくり、水のある場所を移動するため、長雨や排水不良など土壌が多湿になる条件で発生が増えます。

北海道の過去の現地調査では、ホウレンソウの土壌病害は6月の低温期より8〜9月の高温期に多く、根腐病菌のAphanomyces cochlioidesも高温期の子葉期〜生育中期株から多く確認されました。寒冷地でも夏の高温と過湿が重なる時期は油断できません。

家庭菜園でできる根腐病対策

水はけを改善する

根腐病は多湿条件で発生しやすいため、水がたまりやすい畝では高畝にし、排水を改善します。雨の後に長時間水が残る場所では、畝や通路の排水も見直します。

土を湿らせ続けない

発芽までは乾燥を避けますが、発芽後も常に土がベチャベチャの状態にする必要はありません。表土と株の状態を見ながら水やりし、過湿を続けないようにします。

連作を避ける

病原菌は被害残さとともに土壌中で生存します。発病した場所でホウレンソウを繰り返し栽培すると被害が続く可能性があるため、連作を避けます。

発病株と残さを畑に残さない

黄化・倒伏した株で根腐病が疑われる場合は、根ごと早めに取り除きます。腐った根や被害残さをそのまま畝へすき込まず、地域のルールに従って処分します。

病気の土を広げない

湿った土が長靴や移植ごてなどに付着したまま別の畝へ移ると、土壌病害を広げる原因になります。発病畝で作業した後は、付着した土を落としてから別の場所で作業します。

農薬・土壌消毒を検討する場合

ホウレンソウ根腐病には登録のある土壌処理剤・土壌消毒剤がありますが、農薬の登録内容は変更されます。また、土壌消毒剤の中には取り扱いに十分な注意が必要なものもあります。

使用を検討する場合は、農林水産省の「農薬登録情報提供システム」で、ほうれんそう・根腐病への最新登録を確認し、使用時期、使用回数、処理量、処理方法など製品ラベルの条件を必ず守ってください。家庭菜園では、まず排水改善・連作回避・発病株の除去を優先します。

根腐病が出たホウレンソウは食べられる?

根腐病で黄化・しおれ・倒伏が進んだ株は品質が大きく落ちているため、家庭菜園では食用利用よりも発病株を早めに除去し、感染源を残さないことを優先します。腐敗、ぬめり、異臭など別の傷みがある部分は利用しません。

予防と早期発見のポイント

  • 若い株の黄化・しおれを見逃さない
  • 株を抜いて主根上部〜胚軸を確認する
  • 水浸状の病変が褐変・腐敗へ進んでいないか見る
  • 雨後に水がたまる畝は排水を改善する
  • 発芽後の過湿を避ける
  • 同じ場所での連作を避ける
  • 発病株と被害残さは根ごと除去する
  • 発病畝の土を別の畝へ持ち込まない

葉に輪郭のはっきりした淡黄色病斑や黒い小粒が出ている場合は、根腐病ではなくホウレンソウ炭疽病など葉に症状が出る病気も確認してください。栽培全体の管理はホウレンソウの育て方も参考にしてください。

よくある質問

水やりが多いだけでも根腐病になりますか?

過湿そのものが根を弱らせることはありますが、根腐病は病原菌による病気です。ただし病原菌は水のある条件で広がりやすいため、土を湿らせ続ける管理は発病を助けます。

萎凋病との一番分かりやすい違いは?

根腐病は若い株の主根上部〜胚軸が水浸状になり、後に褐変・腐敗するのが中心です。萎凋病は下葉から黄化し、片側に強く症状が出ることがあり、根やクラウンの維管束褐変が重要な診断点です。

寒冷地でも夏は発生しますか?

発生します。発病適温は23〜27℃程度で、北海道の過去の調査でも高温期にAphanomycesによる根腐病が確認されています。長雨や排水不良が重なる夏は特に注意します。

一度発生した畝でまたホウレンソウを作れますか?

病原菌は被害残さとともに土壌中で生存するため、発病した場所での連作は避けるのが基本です。別の場所へ移す場合も、発病畝の土を道具や長靴で持ち込まないようにします。

農薬を使えば治りますか?

発病して腐敗が進んだ株を元に戻す目的ではなく、土壌処理など予防的な登録が中心です。使用する場合は最新の農薬登録と製品ラベルを確認し、家庭菜園では排水改善や連作回避などの予防を優先します。

タイトルとURLをコピーしました