インゲンの育て方|寒冷地の種まき・支柱・収穫のポイント

寒冷地の家庭菜園で支柱ネットに実る収穫期のつるありインゲン 果菜類

寒冷地でインゲンを育てるときは、低温の土へ早まきしないことが大切です。露地へ直接まく場合は最低地温15℃以上を目安にし、寒冷地で少し早めに始めたい場合や鳥害・欠株を避けたい場合は、ポットで育苗して苗から植え付ける方法も使えます。インゲンには「つるあり」と「つるなし」がありますが、この記事と採用画像は、支柱・ネットへつるを伸ばして長く収穫するつるありインゲンを基本に解説します。

つるありインゲンは、生育適温15〜25℃、発芽適温23〜25℃程度です。寒冷地では5月中旬〜6月上旬ごろの直播きを一つの目安にし、ポット育苗では9cmポットで約20日育て、本葉1〜2枚の若苗を最低気温10℃以上になってから根鉢を崩さず植え付けます。栽培が始まったら、支柱・ネットへの誘引、開花・着莢期の水分管理を行い、若い莢をこまめに収穫します。

インゲン栽培の基本情報・早見表

項目寒冷地での目安
分類マメ科インゲン属の果菜類
この記事の基準つるありインゲン
栽培の始め方直播き、または9cmポットで育苗した若苗から始める
種まき時期直播きは5月中旬〜6月上旬ごろを一例。最低地温15℃以上を優先
ポット育苗9cmポットで約20日。本葉1〜2枚が定植適期
植え付け時期5月下旬〜6月上旬ごろを一例。最低気温10℃以上を目安
発芽適温23〜25℃程度
生育適温15〜25℃程度
種まき1か所3〜4粒を基本例
覆土約2〜3cm。種袋の表示を優先
株間25〜30cmをこの記事の画像・栽培例
条間70〜80cmをこの記事の画像・栽培例
間引き本葉2枚ごろまでに生育のよい1〜2本へ。この記事では1本立ちを基本例
支柱・ネットつるが伸び始める前に設置。高さ1.8〜2m前後を一例
摘芯つるが支柱・ネット上部へ達したら先端を摘芯
追肥開花期と収穫開始ごろを基本に、草勢で調整
水やり開花・着莢期は乾燥させすぎない
収穫種のふくらみが目立つ前の若くやわらかい莢
連作マメ科の連作を避け、3年以上あけるのを一つの目安

寒冷地のインゲン栽培カレンダー

工程寒冷地の月の目安確認ポイント
ポット育苗5月上旬〜中旬ごろ9cmポットで約20日、本葉1〜2枚の若苗に育てる
直播き5月中旬〜6月上旬ごろ最低地温15℃以上。低温の土へ早まきしない
植え付け5月下旬〜6月上旬ごろ最低気温10℃以上を目安に、根鉢を崩さず定植
発芽・間引き5月下旬〜6月中旬ごろ直播きは本葉2枚ごろまでに生育のよい株を残す
支柱・ネット6月ごろ本葉5〜6枚でつるが伸び始める前後に設置
誘引・摘芯6〜7月ごろつるをネットへ誘引し、支柱上部へ達したら摘芯
開花・着莢6〜8月ごろ乾燥させすぎず、草勢を見て追肥
収穫7〜9月ごろ若莢をこまめに確認し、取り遅れない

月はあくまで目安です。北海道、東北、本州の高標高地では気温と地温の上がり方が違います。インゲンは低温の土では発芽不良や種の腐敗が起こりやすいため、「5月だからまく」と固定せず、最低地温15℃以上を確認してから始めてください。

つるありインゲンとつるなしインゲンの違い

つるあり種は、つるが2〜3mほど伸びるため支柱とネットが必要ですが、収穫期間が比較的長く、家庭菜園では少ない株数でも長く収穫しやすいタイプです。一方、つるなし種は支柱をほとんど必要とせず、草丈が低く、短期間でまとまって収穫できます。

この記事では、採用画像に合わせてつるあり種だけを基準にします。つるなし品種を育てる場合は、株間、支柱、摘芯、追肥、収穫期間が変わるため、この記事の数値をそのまま当てはめず、種袋の栽培方法を優先してください。

土づくりと連作を避ける

インゲンは日当たりと水はけのよい畑を好みます。過湿になると根が傷みやすいため、雨のあとに水が長く残る場所では高畝にして排水を確保します。土壌pHは6.0〜6.5程度を一つの目安に整えます。

マメ科は連作障害が出やすく、インゲンも同じ場所で続けて栽培すると土壌病害やセンチュウ、生育不良が出やすくなります。同じ場所でマメ科野菜を続けず、3年以上あけることを一つの目安にしてください。元肥を多くしすぎると、葉やつるばかり伸びて着莢が遅れる「つるぼけ」につながるため、多肥は避けます。

苗・ポット育苗からでも育てられる

インゲンは直播きだけでなく、ポットで育苗して苗から植え付けることもできます。寒冷地で少し早めに栽培を始めたい場合や、発芽時の鳥害、欠株を減らしたい場合に使いやすい方法です。

9cmポットへ直接種をまき、初生葉が開いたころに1〜2本へ整えます。育苗日数は約20日、本葉1〜2枚の若苗が定植適期です。苗を大きくしすぎると活着が悪くなりやすいため、若いうちに植え付けます。

植え付けは最低気温10℃以上を一つの目安にし、根鉢を崩さず畑へ定植します。この記事では寒冷地の一例として5月下旬〜6月上旬ごろを植え付け目安にしていますが、地域の遅霜と気温を優先してください。市販苗を使う場合も、根鉢が回りすぎた老化苗より、本葉1〜2枚程度の若い苗が適しています。

種まきは暖かくなってから

直播きする場合は、最低地温が15℃以上になってから、1か所3〜4粒を点まきします。この記事では採用画像に合わせ、株間25〜30cm、条間70〜80cmを家庭菜園の基本例にしています。

つるありインゲンを1か所3〜4粒・株間25〜30cm・条間70〜80cmで種まきする方法

覆土は約2〜3cmを目安にします。インゲンの乾燥した種を長時間水へ浸すと、種皮や子葉に割れ目ができたり、酸素不足で発芽障害を起こしたりすることがあるため、水へ浸してからまく方法は基本にしません。低温時の早まきも避け、十分に暖かくなった土へまきます。

種苗会社の栽培例では、つるあり種の株間30〜40cm、うね間1m程度とする品種もあります。この記事の25〜30cm・70〜80cmは採用画像の家庭菜園例として扱い、草勢の強い品種や2本立ちにする場合は広めに調整してください。

発芽後は生育のよい株を残して間引く

発芽後、本葉2枚ごろまでに、葉色がよく茎のしっかりした苗を残して間引きます。残す株の根を動かさないよう、込み合った苗は無理に引き抜かず、地際をハサミで切る方法が安全です。

インゲンの発芽後に生育のよい苗を残して間引く方法

タキイ種苗では1〜2本を残す方法、サカタのタネの品種では2本立ちとする例があります。この記事では採用画像に合わせて1本立ちを基本例にしていますが、2本立ちも一般的な方法です。種袋・品種ラベルに指定がある場合は、そちらを優先してください。

つるが伸びる前に支柱とネットを設置する

つるありインゲンは、本葉5〜6枚ごろからつるが伸び始めます。つるが絡み合う前に、1.8〜2m前後の支柱をしっかり固定し、インゲンネットやキュウリネットを張ります。

つるありインゲンに支柱とネットを設置する方法

1条植えでは直立式、2条植えでは合掌式にすると安定させやすくなります。風の強い寒冷地では、支柱を浅く差すと株ごと倒れることがあるため、支柱を十分に差し込み、上部も横支柱などで固定します。

つるを誘引し、上部へ達したら摘芯する

伸び始めたつるは、自然にネットへ巻き付くようにやさしく誘引します。ネットから外れて横へ伸びるつるだけを戻し、強く縛り付ける必要はありません。

つるありインゲンのつるをネットへ誘引し支柱上部で摘芯する方法

主づるが支柱やネットの上部へ達したら先端を摘芯します。摘芯すると側枝が伸びやすくなり、株全体へ光を当てやすくなります。側枝も上部まで伸びた場合は同様に摘芯し、つるが密集しすぎないように整えます。

開花・着莢期は水切れさせない

インゲンは過湿を嫌いますが、開花して莢が付き始める時期に乾燥しすぎると、落花や曲がり莢が増えることがあります。土の表面だけでなく、株元の土の乾きを確認し、乾燥が続くときは株元へ十分に水を与えます。

インゲンの開花・着莢期に株元へ水やりして水切れを防ぐ方法

追肥は開花期と収穫開始ごろを一つの基本にし、その後は葉色やつるの勢い、莢の付き方を見ながら調整します。肥料を与えすぎると、つるや葉ばかり茂って実付きが悪くなることがあるため、機械的に追肥を続けないようにしてください。

若くやわらかい莢をこまめに収穫する

収穫適期は品種によって莢の長さや形が違いますが、共通するポイントは、莢が若くやわらかく、内部の種のふくらみが目立つ前に収穫することです。平莢、丸莢などで適正サイズが違うため、種袋に収穫サイズがある場合はその表示を優先します。

若くやわらかいインゲンの莢を株を傷めずに収穫する方法

収穫するときは莢だけを強く引っ張らず、片手で莢の付け根付近を支えるか、ハサミを使って株を傷めないようにします。収穫最盛期は莢の肥大が速いため、できれば毎日確認し、若莢をこまめに採ります。

取り遅れは莢の品質と株の勢いを落とす

収穫が遅れると、莢の中の種が大きくふくらみ、莢が硬くなって食味が落ちます。また、成熟に近い莢を株へ残し続けると、種を育てるために養分を使い、株の草勢低下や次の着莢減少につながります。

インゲンの収穫適期の若莢と取り遅れて実がふくらんだ莢の比較

大きくなった莢を『もう少し太らせてから』と残すのではなく、若くやわらかいうちに収穫することが長く採るコツです。取り遅れ莢を見つけた場合は早めに取り除き、次の花や莢へ株の力を回します。

インゲンの保存方法

収穫したさやいんげんは乾燥するとしなびやすいため、乾いたままキッチンペーパーなどで包み、ポリ袋へ入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。農林水産省の資料では、さやいんげんの貯蔵可能日数は7〜10日程度が目安とされていますが、家庭では鮮度が落ちる前に早めに使うのがおすすめです。

長く保存したい場合は、筋がある品種では筋を取り、食べやすい長さに切って、かために下ゆでしてから冷凍できます。解凍後は食感が変わりやすいため、炒め物や煮物など加熱料理に使いやすいです。

よくある失敗と見直しポイント

失敗見直すポイント
種をまいても発芽しない最低地温15℃未満の早まき、深すぎる覆土、過湿、種の長時間浸水を確認する
発芽後に株が混み合う本葉2枚ごろまでに間引き、採用する仕立て方に合わせて1〜2本へ整える
つるが地面を這う支柱・ネットの設置が遅れていないか確認する
葉やつるばかり茂る元肥・追肥の窒素過多によるつるぼけを見直す
花が落ちる・曲がり莢が増える開花・着莢期の水切れ、高温、草勢低下を確認する
収穫量が途中で落ちる乾燥、過湿による根傷み、肥料切れ、取り遅れ莢を確認する
莢が硬い収穫遅れ。種が大きくふくらむ前に若どりする

主な病気・害虫

病気・害虫確認ポイント
アブラムシ類新芽や葉裏で吸汁し、ウイルス病を媒介することがある
ハダニ類高温・乾燥時に葉裏で増え、葉に白いかすり状の症状が出る
炭疽病葉・茎・莢に暗色の病斑が出ることがある。雨の泥はねや多湿に注意する
さび病葉に褐色〜さび色の小斑点が出ることがある。株を混み合わせない
灰色かび病花や莢などに灰色のかびが出ることがある。過湿と風通しに注意する

葉や莢に異常を見つけたときは、葉表だけでなく葉裏、茎、花、莢、株元まで確認します。農薬を使う場合は、使用時点でインゲンと対象病害虫に登録がある製品を選び、ラベルの使用方法を守ってください。

関連野菜

サヤエンドウの育て方は、同じマメ科でも寒冷地の作型や適温が大きく異なります。支柱・ネットを使う夏野菜ではキュウリの育て方、暖かくなってから種をまく夏野菜ではオクラの育て方も参考になります。

よくある質問

寒冷地ではインゲンをいつ種まき・植え付けしますか?

直播きは5月中旬〜6月上旬ごろを一つの目安にし、最低地温15℃以上を優先します。ポット育苗では5月上旬〜中旬ごろに始め、約20日育てた本葉1〜2枚の若苗を、最低気温10℃以上になった5月下旬〜6月上旬ごろに植え付ける方法があります。

インゲンは苗からでも育てられますか?

はい。9cmポットで約20日育苗し、本葉1〜2枚の若苗を最低気温10℃以上になってから定植できます。発芽時の鳥害や欠株を減らしたい場合にも便利です。根鉢を崩さず、苗を大きくしすぎる前に植え付けてください。

インゲンの種は水に浸してからまきますか?

基本的には浸しません。長時間水に浸すと種に割れ目が生じたり、酸素不足で発芽障害を起こしたりすることがあるため、乾いた種をそのまままきます。

株間と条間はどれくらいですか?

この記事では採用画像に合わせ、株間25〜30cm、条間70〜80cmを家庭菜園の基本例にしています。品種や2本立ちなど仕立て方によっては株間30〜40cm、うね間1m程度の例もあるため、種袋を優先してください。

間引きは何本残しますか?

この記事では1本立ちを基本例にしていますが、つるありインゲンは1〜2本残す方法や2本立ちも一般的です。本葉2枚ごろまでに生育のよい株を残し、品種表示に合わせてください。

支柱とネットはいつ設置しますか?

本葉5〜6枚ごろからつるが伸び始めるため、その前後までに支柱とネットを設置します。つるが絡み合ってから設置すると傷めやすくなります。

摘芯はどこで行いますか?

主づるが支柱やネットの上部へ達したら先端を摘芯します。側枝も上部へ伸びたら同様に摘芯し、株全体へ光が入るようにします。

開花中は毎日水やりしますか?

毎日と決める必要はありません。過湿を避けつつ、開花・着莢期に土を乾燥させすぎないことが重要です。土の乾きを確認して株元へ水を与えます。

インゲンの収穫適期はどう見分けますか?

莢が若くやわらかく、内部の種のふくらみが目立つ前が基本です。莢の長さは品種によって異なるため、種袋の標準収穫サイズを優先してください。

取り遅れるとどうなりますか?

莢が硬くなって食味が落ちるだけでなく、種を太らせるために株の養分を使い、草勢や次の収穫量が落ちやすくなります。若莢をこまめに収穫してください。

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